●「エアーブラシって?」Vol.11



ここまでエアブラシの技法の話をしてきましたが、ここでは日常の手入れの話をしたいと思います。
調子よく快適に使うために手入れはかかせません。なにせとてもデリケートな道具なのです。
まめに手入れをすることで故障などのトラブルを防ぎ、永く使用することができます。

反面、分解清掃中にパーツを傷つけ故障させてしまうこともあります。
慎重に作業しましょう。

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@使用後の手入れ

使った後、何もしないで放置しておくと、中で塗料が固まってしまい深刻なトラブルにつながってしまいます。
まず、カップの中に残った塗料を捨て、ウエスや綿棒などできれいにし、
薄め液やクリーナー液を入れてカラ吹きをします。

カラ吹きの途中でノズルを指で押さえてトリガーを引きます。
ブクブクとカップの中にエアーを逆流させます。これを「ウガイ」といっております。www

ノズルから出る液体が透明になるまでウガイとカラ吹きを何度か繰り返します。
この作業は色替えの時や、絵を描いている途中にも頻繁に行います。
カップまわりやボディーもきれいにします。ノズルまわりはやわらかい筆などを使い慎重に清掃します。


Aニードルの清掃

しばらく使わないときや酷使した後には、ニードルを抜いて清掃します。

テールキャップをはずし、ニードルストップネジをはずします。
慎重にニードルを抜きます。

ニードルをきれいにします。このときニードルの先端を曲げたりしないように注意しましょう。
ニードルの先端はとてもデリケートです。
プッシュ式のハンドピースの場合、ニードルをはずすと押しボタンが外れるようになります。なくしてしまわないように注意。

次にニードルキャップをはずしてノズルの先端をきれいにします。
ノズルの先端も丁寧に取り扱いましょう。このノズルとニードルが大切な部分です。

  


ノズルキャップをはずすとノズルが露出します。交換の際は付属の専用レンチを使います。
なお日常のメンテではノズルまではずすことはあまりありません。

  

ノズルは慎重に力を入れすぎないように取り扱いましょう。ムリな力を加えると簡単にねじ切れてしまいます。
交換の際はニードルとセットで行うのが普通です。


掃除が終わったら元にもどします。
ニードルを入れるとき、先端を曲げないように注意します。
曲がったニードルを入れるとノズルも破損してしまいます。

  

組みあがったらクリーナーを入れて正常に吹けるか確認します。


Bグリスアップ

長く使っているとエアーの止まりが悪くなることがあります。
エアーバルブの戻りが悪くなることが原因の場合が多い。
エアーバルブをはずしてグリスアップします。
専用のグリスか、またはミシンオイルなどを使います。
トリガー式の場合はスライドカム部分にも注油。
クリスアップのあとはオイルが出なくなるまで、クリーナー液などでしっかりとカラ吹きをして下さい。

  

  


●よくあるトラブル

エアーが出ない、塗料がまったくでない、カップにエアーが逆流する・・・コンプレッサーが動いているか確認。エアー圧を確認。エアーホースがねじれてないか。
テールキャップのニードルアジャスター(プリセットハンドル)が締まっている。塗料が濃すぎる、またはゴミが詰まっている。手入れの不備。
清掃しても直ならければニードルやノズルの変形の場合もあります。その場合は交換修理。

ニードルが硬くて抜けない・・・トリガー式によくあります。ニードルに塗料が固着しているかニードルパッキンネジの締め付けすぎが主な原因。
ウエスを巻いたプライヤーなどではさんで慎重に抜きます。ニードルやノズルの変形の場合もあります。その場合は交換修理。

トリガーを引かないのに塗料が出てしまう・・・ニードルストップネジの締め忘れ、ニードルがきちんとセットされていない、ゴミなどの混入、ノズルの目詰まりなど。
よく清掃してセットしなおしてみます。 ニードルやノズルの変形の場合もあります。その場合は交換修理。

トリガーを戻してもエアーが出たままになる・・・バルブ、ピストンの不良。又は故障。組み立て時の不備。グリスアップで改善する場合が多いです。
分解して組み立てるとき、スプリングのセットに不備があると引っかかっておかしくなることがあります。

塗料が漏れる・・・パッキン類の劣化、ニードルパッキンネジのゆるみ。

塗料とともに先から水が吹き出る・・・エアーレギュレーターに水が溜まってませんか。定期的に水を抜いてください。

※ノズル、ニードル、オーリング、パッキン類は消耗品です。自分でメンテしても調子が悪いときは部品交換や修理が必要です。

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