★人物画のトレーニング・単色
●人物画の練習をしてみましょう。まずはモノクロです。
実は、モノクロは、カラーよりも格段に難しい。色情報が無いという事は、絵を描く上では非常にマイナスな部分が多いということですか。
お手本がカラーとならんで用意してあるのは、色の情報を参考にする意味もあります。では、トライしてみましょう。
●原稿のダウンロード
原稿はA4サイズで作ってありますが、小さくて描きづらい方は好みのサイズに拡大して下さい。
●トレース
今までと同様、エンピツでカーボンをつくり、ボードへ転写します。
↓今回は薄めにトレース。
練習の場合は、プリントアウトした下書きに直接描いてもよいでしょう。
●色の準備
ブラックを作ります。
市販のブラックは不透明度が強く、扱いが大変難しいので、色を混ぜ合わせて擬似ブラックを作り使用します。
オレンジ1+セルリアンブルー1+バイオレット2 の割合で混ぜます。
↓とりあえずDブラックと呼びます。
↓次にDブラックとホワイトを混ぜ、グレーを作ります。割合はDブラック1+ホワイト1.5くらい。
Dブラック、Dグレー、それとホワイト。色の準備ができました。
●ステップ@
↓まず全体に薄くしたグレーを吹き付けます。ほんの少し色がついたかなという程度です。
これから入れていくグレーのなじみをよくするためです。
↓次にトレース線を外さないよう、薄くしたグレーで描いていきます。単にアタリをなぞるのではなく、濃いところ、薄いところの階調をつけながら描きます。
↓この状態まで進めましょう。ここまでが一番しんどいところ。
●ステップA
つぎに希釈したDブラックで濃い部分を強めていきます。
↓グレーをすべてなぞるのではなく、一番濃い部分にブラックを乗せる感じです。
ここでは髪の毛、まゆの一部、まつ毛、瞳の周り、瞳の中心、鼻の影、などです。
↓この状態になりました。ポートレートを描く場合はこの段階でモデルそっくりになるように描きます。
おかしい部分はここまでの段階で修正しておきます。あとから修正するのは至難のワザです。
●ステップB
ハイライトを入れます。この段階で、最終的に白くなる部分は白くしておきます。
まゆの下、眉間、鼻筋、瞳などです。
↓瞳のハイライトなど、小さい部分は描くうちに塗料がかぶり、濃くなってしまいます。まめに白く修正しておきたいところです。
ホワイトを吹き付けてもいいですが、このような小さい部分には、わたしはよく消しゴムを使い色を抜きます。色換えの手間が省けます。
←ペンシル型の消しゴムは便利。
●ステップC
さらに濃淡を付けていきます。
描きこむというより、ブラックのオーバーブラッシングで色を深くしていく感覚です。
まつ毛、髪の毛、顔の左側の影、目じり、鼻の影など。
↓最後に一番暗い部分を原液のDブラックを使用して濃く締めます。
●ステップD
場合によってはハイライトをさらにホワイトで強調して完成です。
さらに本物のブラックを濃い部分に入れてよりメリハリをつけるのもよいです。
モノクロ人物画を描く場合は顔全体をこのステップで進めて描いていきます。
慣れない方のモノクロは、たいてい全体が黒くなりがちですので、そのへんを注意して描きましょう。