★クリアーコーティング
●作品が出来上がったらクリアーコーティングで画面を保護します。
クリアーでピカピカに輝くと驚くほど高級感が出てきます。
しかし、クリアーコーティングをうまくやるには、ある程度、塗装の技術が必要になってきます。
本格的にやるなら、専門の道具や設備が必要です。
また、塗装はとても奥が深く、それほど簡単には習得できません。
また、最後のこの段階で失敗するとせっかくの作品が台無しになる可能性もありますので、慎重にやりましょう。
わたしも自信がないころは、クリアーのみ外注に出したりしたこともありましたが、
プロの塗装屋さんでもエアーブラシのクリアーコートは嫌がります。
●塗装技術については、そういった専門分野のレクチャーを利用していただくとして、
ここではエアーブラシ作品のクリアーコーティングに限って話を進めます。
クリアー塗装だけで半日掛けるくらいの気持ちでやってみましょう。
※尚、ここで使用した作品は、アルミ複合板を使用し、ニッペのアドミラで、仕上げた作品です。
使用した塗料に適合したクリアーを使うようにして下さい。
●用意するもの
写真左・塗装ガン、洗浄用のラッカーシンナー。 写真右・ロックペイント・マルチトップクリアーQR(標準)、硬化剤、専用シンナー(標準)
大き目の紙コップ、ハカリ、ストレーナー(塗料を濾す道具)。 ガンはよく洗浄しておきます。
※本格的にやるとなると、気温によって変えるシンナーの種類や希釈率など大変難しいので、ここでは標準でやります。
マルチトップクリアーについての説明はロックペイントのサイトで確認して下さい。
●準備
クリアーを塗る作品を台などにのせ準備します。作品は出来上がってから一日くらい間をおき、完全に乾かしておくくらいの余裕が欲しいところです。
作業にかかる前に掃除をしっかりしておきます。さらに、ほこりが舞わないよう、水を打ったりします。
ほんとうは、塗装ブースなど、しかるべき設備でしなくちゃいけないところです。
塗装の前に画面のホコリ、ゴミなどを取り除きます。ウエスなどで拭くと糸くずがついたり、作品がかえって汚れたりしますので、
写真のようにエアーでゴミ、ホコリを吹き飛ばします。
さらに、マスキングテープなどを丸めて、ゴミをテープにくっつけてきれいにします。専門用具だと、タッククロスという品物もあります。
●塗料の調合
クリアーによって硬化剤の混合比が違いますが、このクリアーは主剤 10 に対し 硬化剤 1 の割合で混合します。
ここでは主剤 200ccに 硬化剤 20cc を入れました。カンはよく振って中身を均一にしておきましょう。
よく撹拌します。
ここへ専用シンナーを20% ほど入れて薄めます。計算すると220×20%=44cc ということで、合計
264ccです。
おおむねで良いと思います。
ふたたびよく撹拌します。塗料が用意できました。
●ガンのカップに調合したクリアーを入れます。このとき、ゴミが中に入らないように、必ずストレーナーで濾して入れます。
当然、カップの中はきれいにしておきます。
●吹き付け@
さあ、吹き付けましょう。写真のように、かなり離れた位置からふわりと乗せる感じです。
方向を変えて4回ほど。
表面をチェックします。微妙に塗料がかかったという程度です。
2〜3分ほど放置し、これを繰り返します。3回程度。
3回目が吹き終ったら、5〜10分ほど休みます。
●吹き付けA
今度は少し多めに塗ります。が、ここでもまだテカテカにはしません。
塗る前にホコリ、ゴミなどついていないか確認しましょう。
ついていたら、丸めたテープで慎重に取り除きます。
少しガンを近づけて2〜3往復づつ各方向に。
ここでも2〜3分ほど放置し、下の絵が浮いてきたり溶けてきたりしてないか常にチェックしながら、3回程度繰り返します。
3回目が吹き終ったら、今度は20分〜30分ほど長めに休みます。
表面はザラついた感じになってますが、絵は大丈夫。
●吹き付けB
ここで、塗料が少なくなってきたので、もう100ccほど作って足しました。調合して1時間ほど経ってますが、カップの中の塗料はまだ硬化してません。
画面は端っこを指で触ってみて、べとつかないくらいに乾いてます。
次はテカリがでるまで吹き付けます。少しガンを近づけて2〜3往復づつ各方向に。
テカリ具合を見ながら表面が濡れた感じに仕上げます。
カップの塗料を使い切る寸前まで吹き付けます。
さらにもう一度100ccほど塗料を作り、同じように2度塗りしました。なるべく厚い塗膜にします。
うまくいきました。作品も無事です。ホコリやゴミも多少は付いてはいますが、この環境ならこれくらいで充分でしょう。
使用したガンは中で塗料が硬化してしまわないうちに、洗浄シンナーでよく洗って下さい。
触っても大丈夫くらいに硬化したら、室内へ安置させます。
あとは、クリアーの完全硬化後、磨き作業をして完了です。
あせらずその状態で一日くらい寝かせておきましょう。季節、気温などにもよりますが、それくらい慎重のほうがいいです。
カスタムペイントなど、本格的塗装の分野では、これを水研ぎし、さらにクリアーを重ねて層を厚くすることを何度も繰り返します。
メタルフレークなどの塗装で出来た段差やざらつきを取り除くためです。
そして、徹底的に磨き、いわゆる鏡面仕上げ、鏡のようなツヤを出すところまで仕上げます。
●磨き
ここでは簡単に艶出しの磨きをやってみましょう。
まず、1500番くらいの耐水ペーパーで水研ぎします。タテヨコに根気よく研ぎます。
右の写真のようなマダラのテカリ(ガン肌)がなるべく消えるまで研ぐのが理想です。
水分を乾かし、乾拭きしたら、コンパウンドで磨きます。まず、極細目のコンパウンド。これでペーパーの削り目を消します。
2回磨きました。
次に超微粒子のコンバウンドで艶出しします。こちらも二回。
柔らかいネル状の布で磨き上げます。景色が映るくらいのツヤがでました。
ポリッシャー。こういう便利な道具を使用します。
こちらはさらに強力タイプ リョービPE-2010
クリアーでチカチカになると、工芸品のようになり、作品の価値が高まったように感じられてうれしいですね。
最近のわたしは、クリアーにマット剤(艶消し剤)を添加し、作品を艶消し仕上げにすることが多いです。
まぁ、これは全くの好みの問題でしょうね。
ちなみに絵の展示会などでは、作品を見せる上でテカリがジャマになることもあります。
そういうことも考慮します。