★ハンドピースの手入れ
●魔法の道具を生かすも殺すも手入れ次第
ハンドピースのコンディションを保つため、まめに手入れをしましょう。わたしは一日の作業終了後、または作業前には必ずメインのハンドピースの手入れをしてから作業に取り掛かります。
また、作業の途中、なんとなくしっくりこない時なども手入れをすると調子を取り戻せます。
●よくあるトラブル
●トリガーが引けない・・・・ニードルアジャスターが一杯に閉まってませんか? そうでない場合は中で塗料が固まっているか、ニードルの変形が考えられます。
●エアーと同時に塗料が出る、又はトリガーを戻しても塗料が出っ放しになる・・・・ニードル留めネジが緩んでませんか?ニードルをしっかり差し込み、留めネジを指でしっかり締めましょう。
ゴミなどでノズルが詰まっていてもこうなる場合があります。清掃しましょう。
それでも直らないときはニードル及びノズルの変形が考えられます。要交換。
←ニードル留めネジ
●トリガーを戻してもエアーが出たままになる、エアーの止まりが遅い。・・・・・エアーバルブの不調です。清掃とグリスアップで直ることが多い。
←エアーバルブ
●使用中、ノズルからいきなり水が吹き出る・・・・エアーフィルター、付いてますか? 付いてる場合は水が溜まってませんか? 水抜きしましょう。
●手入れをすると解消するトラブルも多いです。、塗料で汚れたハンドピースがきれいになっただけで、調子が良くなった気がするもんです。
●用意するもの
ウエス、ティッシュ、綿棒、筆、塗料用ラッカーシンナー又はハンドピースクリーナー、大き目の空き缶、紙コップ
精密ドライバー(-)、マイナスドライバー、ブライヤー、ノズルレンチ(ハンドピースの付属品)、ピンセット、ミシン油、などなど。
参照・・・menu基礎編 ★ハンドピース各部の名称
まず、カップにシンナー、またはクリーナーを入れてうがい、カラ吹きをします。「うがい」はもうわかりますね。(
menu基礎編 ★とにかく描いてみよう参照)。
水性塗料を使用している場合は専用クリーナーで洗浄しましょう。ハンドピースによってはシンナーが使えない機種もありますので注意が必要です。
※尚、塗料に適合する専用シンナーは高いので、ハンドピースの洗浄にはごくふつうのラッカーシンナーを使うと経済的です。
シンナーを使用する時は、火気厳禁です。また健康のため、必ず換気をしましょう。
塗料カップを外せるタイプのものは外します。テールキャップ、ニードル留めネジをはずし、ニードルを慎重に引き抜きます。
ニードルが曲がってしまったり、キズがついてしまうと交換しなければならなくなりますので取り扱いは慎重に。
また、先の変形したニードルを無理に差し込むと、ノズルも破損してしまいます。
ブッシュ式の場合は、ニードルを抜くとプッシュボタンが簡単に外れるようになります。なくさないように注意。
ニードルキャップをはずします。シンナーまたは専用クリーナー液で各部を丁寧に洗浄します。意外と汚れていてしばしばびっくりします。
脱着式の塗料カップもよく洗浄しましょう。カップをはずした穴の中に綿棒の綿くずなど残さないように。
「なんか調子悪いなー」と思って清掃したら、中から綿棒の頭が出てきたことがあります。気づけよ。。。
ハンドピースを2本お持ちの方は、このように別のハンドピースにクリーナーを入れ吹き付けて洗浄するとよいです。
組み立てです。ニードルを保護するため、ニードルキャップから。
ついでニードルですが、プッシュボタンが外れていないか確認して挿入してくださいね。ニードルはプッシュボタンの下部の穴に通すように入れます。
ニードルの先をニードルチャックに当てないよう慎重に。
乱暴に押し込むと、今度はニードルでノズルを変形させてしまいます。止まるところまで押し込めばOK。ニードル留めネジをしっかり締めて、テールキャップを取り付け終了です。
最後にもう一度うがいとカラ吹き。
ノズル交換・グリスアップ
長く使用していると、まめに洗浄していてもどこか調子が悪くなるものです。よくある不調は、●吹き始め、エアーと塗料が同時に出てしまう、●トリガーを戻してもエアーが出っぱなしになる。などです。そんな時はノズルの清掃、交換、グリスアップしましょう。
注意することは小さな部品が多いので、なくさないよう気をつけること。精密ドライバーなど、ネジ山によく合ったものを使用すること、などです。
●吹き始め、エアーと塗料が同時に出てしまう場合。
ハンドピースを清掃すると直ることが多いのですが、ニードル、ノズルが破損していると交換になります。
先の曲がったニードルは、抜くときノズルを破損させることが多いので、ニードルとノズルはセットで交換するのがが望ましいです。
ノズルの取り外し
ハンドピースの手入れの行程同様、ニードル、ニードルキャップを外します。
次にノズルキャップを外します。ノズルが露出しました。
ノズルを外します。ハンドピースの部品の中で、ニードルと、このノズルが最もデリケートです。ハンドピースに付属しているニードルレンチを使います。
時計と反対方向に回すと緩みます。ここ、無理な力を加えると簡単にネジ切れて破損してしまいます。レンチで変形させないよう気をつけて。
緩んだらあとは指で廻して取り外します。
ニードルとノズルは消耗部品ですので、交換の時はこの手順で行います、ニードルとノズルはセットで交換します。交換の目安はハンドピースの使い方、使用する塗料によってまちまちですが、わたしの場合で2〜3年ごとくらい。手入れしてるにも関わらず調子がイマイチに感じる時、交換によって解決したりします。あとは落として曲げてしまった場合とかです。ノズルの一部を中に残したままネジ切ってしまい、修理に出したこともありました。。。トホホ。
●トリガーを戻してもエアーが出っぱなしになる
これは、エアーバルブのピンと、ハンドピース本体についているピストンの戻りが悪い場合によく起こるようです。注油すると直ることが多い。
エアーバルブを緩めて外します。ブライヤーなどを使うときは、キズをつけないようにウエスをはさんで。
これがエアーバルブピン。注油はほんの少量でよいです。右は本体のピストン。このパーツが抜けてしまうと取り付けるのが非常に難儀です。気をつけて注油です。
※注油したあとは、エアーにオイルが混ざって出ます。オイルが出なくなるまでしっかりとカラ吹きをしてから使用して下さい。
ハンドピースの分解
もっと徹底的に清掃したい、グリスを注したい、構造に興味がある、など、必要な場合もそうでない場合も、ハンドピースを分解しなければならない時があるかもしれません。
なので一応、手順を写真で示します。トライする方は、あくまでも自己責任でお願いします。
ちなみに、ハンドピースの修理代、けっこう高いです。見積もりを取ることをお勧めします。ヘタをすると新品を購入したほうがよい場合も。
エアーバルブを外したあと、スプリングケースを緩めて外します。
ニードルスプリングとボタンオシニードルチャックを抜きます。 ブッシュボタンを外します。
まだ本体にピストン、Oリング、ニードルパッキンなどが残っていますがここまで。組み立ては逆の手順で。
次に、トリガー式です。プッシュ式に比べて工程が多い。
トリガーを外します。ニードルスプリングストップを緩めて外し、ニードルスプリングしと二ードルチャックを抜きます。
ボディ下部の小ネジを外します。ネジ山をつぶさないように。これでローラースプリングストップが外せるようになります。マイナスドライバーで廻して外します。
エアーバルブを外さないとローラーが抜けませんので外します。ローラースプリングとローラーが抜けました。
ピストン。これが抜けると戻すのに苦労します。 次にニードルOリングネジを外します。ニードルOリングをなくさないように。
洗浄と注油。ローラーとピストンが当る部分に注油。新品はここにグリスがたっぷり詰まっております。
次に組み立てです。ニードルOリングネジはあまり締め付けるとニードルの滑りがきつくなるので注意です。ここにも注油。ニードルを差してみて確認します。
組み立て時、ローラーの向きに注意。 ローラースプリングはローラーに確実にセットしましょう。ローラースプリングストップはネジ穴をボディの穴に合うところまで廻します。
分解組み立て時はノズルキャップを付けておき、ノズルを傷めないようにしましょう。
●分解時、ニードルが固くて抜けないということがトリガー式にはまれにあります。プライヤーなどではさみ、慎重に抜きます。
ニードルOリングネジの締めすぎで固くなったり、Oリングやニードルのキズが原因の場合もあります。
ニードルの滑りを確認します。ここがスムーズでないと微妙なブラシワークにも影響がでます。
あまりお勧めはしませんが、わたしはOリングの穴を若干広げたりしてます。やってみるときは交換の時などに。
改造の例をもうひとつ。ローラーです。
右がオリンポスHP-102Bのローラー。左がノーマルのオリンポスHP-83cのローラー。トリガーの当たる部分の形状が若干違います。
トリガーの引き味をHP-102Bに近づけるため、わたしのHP-83cのローラーはヤスリで削っております。
あまり勧めたくない改造ですが。