新作 「蟷螂(かまきり)」
900ミリ×900ミリ

カマキリがこっちを見た。
狂ったような暑さの、ある夏の日。
むさぼり食べられているのは、もう一匹の別のカマキリ。
それがオスなのかメスなのかは、わたしには判別がつきませんでした。

カマキリのメスは交尾のあと、相手のオスを食べてしまうといいます。
一説によれば、カマキリは
目の前で動くものにただ本能的に反応するだけであって、
それが同種であってもエサとして認識するのだとか。

この作品を描くにあたり、カマキリの捕食の様子を実際に観察しました。
その結果はごらんのとおりでした。
少し表現はアレンジして抑えてあります。

自然界はわれわれが思い描いているよりメルヘンチックにあらず、
凄まじくリアルです。

この地球上で現在最大に繁栄している生物は昆虫や植物、はたまた菌類という見方もあります。
この作品は、ある公募展への出展作で、「自然へのまなざし」というテーマで描きましたが、
見られているのは実は、
われわれ人類なのかもしれません。

2007年8月16日。 この日、岐阜県多治見市は観測史上74年ぶりに国内最高気温を更新。40.9度を記録。
異常に暑い夏でした。