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Q8 ベイズの定理とは?
<質問内容>K.Sさん
ベイズの定理とはどのような定理なのでしょうか?難しい理論はともかく素人にわかりやすく一般的な説明でよろしいですので、ご説明下さい。
<回答>
こんにちは Sさん。う〜んベイズの定理ですか。しかもわかりやすくと。いきなり難題をありがとうございます。
この回答を書くのに1週間考えましたよ。当初、猫田先生にでも振ろうかと思ってましたが、一応私なりの回答を書いておきますね。猫田先生からもその内何か言って来たらまたアップしますね。
統計学という学問は中世の頃から多くの数学者らに研究されていた学問ですが20世紀に入って飛躍的に発展しました。
それは統計学者達に発想の転換という事が起こったからで、そのきっかけを与えたのがベイズの定理です。
ベイズ理論は非常に抽象的な概念を持っているので、わかりやすく説明となるとあまり自信ないですが、現代の統計学的思考の根幹をなす概念ですので、何とか説明してみますね。データを解釈、あるいは情報を得た場合、それらが数学的に正しいのかどうかを調べる必要がありますが、その場合用いられる手法が演繹法と帰納法です。
演繹法は幾何学の証明などで知られるように、公理や前提から出発して、命題を証明するやり方ですが、これはその前提や公理を越えるような新しい知識は創造できないと言う欠点をもっていました。
帰納法は帰納的推論とも言われるように、結果が出たときにその前提を決定するという演繹法とはまったく逆の推論をしていくやり方です。帰納法は不完全、あるいは質の悪いデータに基づいて結論を得るときに用いられる方法ですが、これらは常に不確実性の元で結論を導かなければならないというジレンマがつきまといます。
不確実性とは、データと仮説との因果関係が1対1に対応していないと言う意味です。そのため、帰納的推論はその導かれる結論の正しさが証明を行う個人の熟練度や直感に依存すると言われるほど技巧的な側面が強い手法と言われていました。
統計学が生まれた頃はデータの解釈などが主な役割でしたが、これをデータの持つ傾向のもとづいて人間集団の特性をいかにして予測出来るのかの方向に流れが動いて行きました。それに立ちはだかる最大の障害が不確実性と言う問題でした。
帰納法が持つ個人の力量に依存することなく、仮説に対し一般化された規則を作り出すことが可能か、また、選ばれた仮説の不確実性はどのようなものか。
この命題にたいして、特定のものから一般化を行うという規則によって作り出された知識は不確実なものではあるが、その中に含まれている不確実性を数量化すれば、それは確かな知識として利用することが可能であることが証明されました。最適決定の問題として、定式化されることで帰納的推論が演繹的理論として扱えると言うことになった訳です。
この不確実性の数量化に積極的に取り組んだのがベイズという人で、可能な仮説の組みに対して、事前分布という概念を導入しました。事前分布とは、データが観測される前の状態の、各仮説に対する信頼度の程度を示すもので、それは既に与えられたものとして扱います。
これと、仮説を与えたときのデータの確率分布の知識をあわせれば観測データの周辺確率分布を得ることが可能となり、データを与える事で仮説の条件付き信頼度を計算することが可能となる。これがベイズの定理と呼ばれるもので、観測データと仮説に対する信頼度を表しています。
ベイズの定理は、帰納的推論における道具として確率論を巧みに用いる事で不確実性の数量化を行う事が出来る事を示しました。
厳密な数学者からはこの事前分布に抵抗を示す人もいます。それは事前分布の選択に客観的でなかったり、ある種の不完全性が見られる場合があるからですが、現実的にはこれらの不完全性は人々の行動決定や自然科学の解明になんら妨げとならなかったのでした。
このベイズ的思考によって発展した未知母数の推定、仮説検定、決定理論等の統計学の方法論は人間行動の多くの分野に適応され個人、社会の行動を最適な方法で運営することが出来るようになり、不確実性、あるいは偶然性が介在しても合理的に将来の予測が可能となりました。少し分かりにくかったかもしれませんが、難しい定理の説明と言うより一般的な説明という要望にそって書いてみました。文中抽象的部分がありますので補足しますね。以下の部分です。
「最適決定の問題として、定式化されることで帰納的推論が演繹的理論として扱えると言うことになった訳です」
例えば明日の降水確率を考えてみましょう。
気象予報士10人のうち今日の天気図からこのパターンなら明日は雨と言った人が3人いたので30%とということではないですよ。
明日の降水確率が30%という場合の30%の数値が出てきた意味合いですが、これは明日雨が降ることについての不確実性を扱う問題で、従来は帰納的推論から推定していく類の問題です。
帰納的推論から行くと、これまでの経験則から消去法によって雨となる予報を出していくのが精一杯で予報官の力量に依存する面がありました。
今では不確実性(この場合明日の天気)を数値化(定式化)するために、過去の天気図を調べ今日の大気とよく似た状態を選び出し、仮説(この場合翌日雨となる仮説)を与えその信頼度を計算しています。それらは非常に多くの観測されたデータから複雑な確率計算を経て得られた結果一つ一つが数学の定理的な役割を果たし、演繹的推論の帰結として明日の降水確率を導き出しています。
ベイズ思考というのはこのような所にも影響を及ぼしています。
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