栗物語

新品種の開発は、農事試験場等の公的機関で行われるのが常である。民間での開発は、栗では2件だけだと聞いている。その内の1つが林1号である。

農林省名称登録第11号「林1号」



林1号系図

林1号は、林輿八氏が昭和7年より栗の交配を重ねて作った品種である。
「笠原早生」と「支那栗」を掛け合わせ、「笠支1号」を作りその実生を掛け合わせた内の優秀な品種を固定して「林1号」「林2号」「林3号」と命名した。
岐阜県林産指導所の栗栽培手引きの説明によれば
『樹性普通、豊産性にして樹型円形、粒数1升当たり60粒から70粒、熟期は「大正早生」と「笠原早生」の中間である。果皮の光沢は良く、肉のしまり、香味またよく、渋皮の離れもはよろしい。』
とある。


<支那栗>
甘栗である。果形は小さいが果肉は甘く、品質は極めて優良で、日本栗の比ではない。日本栗の欠点は、果肉の甘みが支那栗や欧米種より劣ると共に、渋皮が容易に離脱しないことである。

<笠原早生>
岐阜県多治見市笠原町が原産である。9月20日頃成熟する。病害虫に対する抵抗力が弱い。豊産種で栽培容易、失敗の少ない品種である。果肉は平均30g、大粒にして光沢強く外観は見事である。肉質は黄白色、粘質にして品質不良、加工に不向きであるからこれは単作することは岐阜県の業績に影響するから他品種と混植しなければはなはなだ危険である。

日本の在来種の欠陥は中国、欧米の栗に比べて甘さがなく、渋皮の離れが弱いことにある。この欠点を克服することが品種改良の視点であった。林輿八氏もこの点に目をつけ昭和7年より栗の品種改良を始めた。
「支那栗」は、果肉は極めて小さいが、日本栗にない甘さがある。それに反して、「笠原早生」は果実は大きいがまずくて加工不向きである。2品種の欠点を克服し、その良さを引き出したのが「林1号」である。


品種改良の視点

岐阜県林産指導所の説明

共栄物語
クリタマバチ

「栗物語」(1)

例:
全国誌「農村と園芸」の表紙を飾る林1号