平成17年4月23日発行
<<No34>>
 <共栄区史編纂委員会>
編纂委員募集中、証言者大歓迎

林輿八氏が長年かかって作った「林1号」はどういう栗で、なぜ幻になってしまったのか調べた。
<品種改良の視点>
日本の在来種の欠陥は中国、欧米の栗に比べて甘さがなく、渋皮の離れが弱いことにある。この欠点を克服することが品種改良の視点であった。林輿八氏はこの点に目をつけ昭和7年より栗の品種改良を始めた。「支那栗」は、天津甘栗に代表されるよう果肉は極めて小さいが、日本栗にない甘さがある。それに反して、「笠原早生」は果実は大きいがまずくて加工不向きである。2品種の欠点を克服し、その良さを引き出したのが「林1号」である。昭和25年3月に農林省より登録期間7年の名称登録を得た。18年かかった訳である。
<林1号の特徴>        
『樹性普通、豊産性にして樹型円形、粒数1升当たり60粒から70粒、熟期は「大正早生」と「笠原早生」の中間である。果皮の光沢は良く、肉のしまり、香味またよく、渋皮の離れはよろしい。 (県栗栽培の手引きより)
<価値>
 栗の新品種はほとんどが公的機関によって生み出されている。民間で新品種を作ったのは極めて希であったことが先ず業績としてあげられる。また改良の視点が日本栗の欠点を克服するという大きなテーマに沿っていた。
<クリタマバチに弱い>
 昭和16年岡山県で発見されたクリタマバチはまたたくまに全国に広がった。天敵がいなかったからである。中国から苗木について入ってきたものと考えられる。林1号はクリタマバチへの抵抗が弱く、苗木市場からも農家からも姿を消した。
<新たな可能性>
クリタマバチの天敵であるチュウゴクオナガコバチを1979年と1981年に輸入して各地に放した。クリタマバチに対して極めて有効で低密度になった。生物学的駆除の成功例である。チュウゴクオナガコバチは徐々に生息域を広げている。「林1号」が復活する可能性が出てきたのである。共栄から生み出された優良品種が蘇るとしたらこんな夢のある話はない。「林1号の里」なんてのはどうだろう。