平成17年6月25日発行
<<No39>>
 <共栄区史編纂委員会>
編纂委員募集中、証言者大歓迎

落花生の話(1)
<落花生を石で煎って売ることを思いついた>
 落花生を自家用に作っている人は
いましたが、商品として市場に出す人はほとんどいませんでした。生のままではあまり売れないのです。
 昭和29年、栄一は落花生をいって食べられるばかりにして売ることは出来ないかと思うようになりました。問題は、焦げないようにいる方法でした。栄一の頭にひらめいたのは、正月の十日市に出る露天商の焼き甘栗でした。大きな鍋に入った砂で栗をいると、砂の熱気がまんべんなく四方から栗に伝わり焼き栗になる。あ!あれだ!これならうまくいくと直感しました。さっそく、近くの山(星ガ見岩)の石切場
に行き、バケツで風化した花崗岩を持ってきてふるいわけ、きれいに洗い大鍋に入れ、試しに落花生をいってみました。予想通り、落花生は焦げることなくいることができました。
 翌朝五時半に起き、いった落花生16kgを自転車に積んで八百健市場へ持っていきました。買い手が現れるだろうか、いくらで売れるだろうか、栄一はせりが終わるまで市場に立って見ていました。4kg入りの紙袋一つが800円で取り引きされたと覚えているそうです。 
 栄一の落花生を買ってくれた商人は、仲間の商人に少しずつ落花生を食べさせ、次に出荷のために市場に来て話していた人達の所へ行って、落花生を手に乗せて見せながら、
「ここまで仕上げて市場へ出せよ。」
と言ったのを、30年経った今もあざやかに思い出すそうです。
「帰りは、心もうくうきとして空の自転車がみょうに軽かった。」
と話してくれます。                (林拓磨の聞き書きより)