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硬膜外ブロック療法


 硬膜外ブロック療法とは神経ブロックの一種で、主に痛みの緩和と血行障害の改善を目的として行われる治療法です。その他にも血行の改善により創傷治癒の促進などの効果も期待できます。


硬膜外ブロックとは? 硬膜外ってどこにあるの

 硬膜は脊髄を取り囲んでいる一番外側の膜で、その硬膜と黄色靭帯の数ミリの間隙(すきま)を硬膜外腔と言います。硬膜外ブロックとはこの数ミリの硬膜外腔に局所麻酔剤など注入することによって、交感神経や知覚神経の機能を一時的に抑制し、疼痛や血行障害などを緩和する治療法です。末梢神経には交感神経、知覚神経、運動神経があります。その内、局所麻酔薬で交感神経がブロックされると末梢の血管が拡張し血行が改善され気持ちが良くなり、知覚神経がブロックされると患部の疼痛が緩和され、運動神経がブロックされると筋弛緩作用がもたらされます。

仙骨部硬膜外ブロックについて  

 仙骨部硬膜外ブロックは硬膜外ブロックの中でも少し特殊です。仙骨というお尻の骨の最下部に硬膜外腔につながった穴があります。そこから薬を注入すればお尻から足の先までの効果的な硬膜外ブロックとなります。比較的安全にでき合併症も殆ど起らない硬膜外ブロックです。

●注射は恐い? 痛い?

 ブロック注射に使う針は、採血する時と同程度の針です。ただし、あらかじめさらに細い25ゲージ以下の針で十分痛み止めを注射をしてから行います。私も心配で時々患者さんにブロック注射後に「痛かったですか?」と聞いてみますが、患者さんはあまり痛くないと言われます。

●硬膜外ブロックを受ける場合の注意

 ブロック注射後は 当日の入浴は避け、シャワー程度にしていただきます。さらに後で述べるような合併症が発生しやすくなるので、ブロック後の運動は避け、できるだけ安静を心がけて下さい。また硬膜外ブロックは基本的にブロックの可能な状態の患者さんに対してのみ行います。心臓病や脳血管疾患などがある方は慎重に検査をさせていただきます。

●硬膜外ブロックができない方

 次の状態にある方は、このブロック治療は避けたほうがよいでしょう。

局所麻酔剤や副腎皮質ステロイド剤にアレルギーのある方
血液の凝固しにくい状態の方(血液疾患、肝臓病、抗凝固剤を服用中の方)
著しく全身状態の悪い方(著しい高血圧のある方)
針を刺す部位に皮膚炎や炎症のある方(細菌感染による髄膜炎をおこしやすいため)
糖尿病などで免疫機能が障害されている方(細菌感染による髄膜炎をおこしやすい)
広範な腰椎椎弓切除術を受けられた方(薬液が十分に注入できないことがあるため)

●硬膜外ブロックの合併症

 神経の周囲に局所麻酔剤を注入するために、頻度は少ないものの次のような合併症がみられることがあります。具体的には

けいれん(局所麻酔剤の中毒症状)
低血圧(たちくらみ、吐き気、嘔吐など)
麻痺症状(しびれ、脱力、排尿困難、失禁など)
髄膜刺激症状(頭痛、肩・くびすじのこわ張り、吐き気、嘔吐、めまいなどなど)
髄膜炎(発熱、意識障害、頭痛など)

など、ブロック後直ちに発生することもありますし、1〜2日後に症状が見られることがありますから、実施後十分注意してみて異常かなと思えばすぐに御相談下さい。

合併症補足 

低血圧:ブロック後30分以内におこり、点滴をして血圧が下がらないように配慮します。1時間は休んでもらいますので、大抵は1時間以上過ぎれば大丈夫です。

硬膜穿刺 :いかに注意していても確率0.3〜0.1%で誤って硬膜を穿刺してしまうことが起こります。硬膜穿刺した時点でブロックはくも膜下ブロックと言う方法に切り替えるか、ブロックを中止するかのどちらかです。硬膜穿刺が起こった場合髄液の量が一時的に減少するために頭痛が起こります。ほとんどの人が1〜2週間強い頭痛に襲われ、横になっていることしかできませんが自然と治ります。
硬膜外血腫・膿瘍:当院では起こったことはありません。抗凝固剤使用中でなければ血腫を形成する恐れはないと言われています。心筋梗塞、狭心症、脳卒中、糖尿病、下肢閉塞性動脈硬化症、脊柱管狭窄症などは抗凝固剤を使っていることが多いのでお知らせ下さい。また膿瘍は免疫力の弱ったお年寄りにおこる可能性があるため、原則75歳以上の方はブロックの対象外としておことわりすることもあります。血腫を作らなければ膿瘍を形成する恐れはないと考えられます。
神経損傷 :通常起こりえません。
中毒、アレルギー、悪性症候群:歯医者さんなどで気分の悪くなった経験のある方、手術の麻酔で異常があった方は場合によってはブロックが行えないことがあります。
 
 
Copyright 2010 NIPC. All Right Reserved. 最終更新--Thursday, 9-06-2010 11:21 am--