|
神経ブロック療法
神経ブロックとは痛みの原因となる交感神経線維、知覚神経線維や運動神経線維の異常な緊張や興奮を取り除き、その神経が支配している領域の痛みや不快感を断ち切る治療法で、ペインクリニックではもっとも重要な位置をしめます。
病気は一般的に自律神経の異常を引き起こします。これが病気を長引かせたり、他の症状を引き起こしたりしています。神経ブロック療法の中でも特にSGB療法や硬膜外ブロック療法は、交感神経(自律神経の一種)を一時的に遮断(ブロック)し、人間が本来持っている自然治癒力により病気や症状を改善する画期的な治療方法です。
神経には自律神経、運動神経、知覚神経がありますが、慢性疼痛に関わってくる神経は自律神経(実際は、ニューロパチックペインのように脊髄後角における中枢からの知覚の抑制などが関与したりして、ものすごく複雑なんですが)が主です。手術麻酔でも硬膜外ブロックが行われますが、外来のそれとはちょっと違います。デリケートな自律神経をブロックする事が第一ですから、外来で行う硬膜外ブロックに使う薬は手術麻酔に使う量より少なく、副作用や合併症の無いように安全性を考慮して選ばれます。
自律神経はとても大事な働きをしていて健康な時は気にもとめませんが、一旦慢性の病気になると病気と自律神経が複雑に関係して一筋縄では行かなくなってしまいます。慢性の痛みは急性痛と違って自律神経が痛みの中心になって来ます。そこのところがわかっていて治療していかないと、痛みや病気が一向に良くなってこないということになるわけです。
ちょっと分かりにくいですが、人の自律神経系はコンピューターに例えられます。もし慢性の病気になって自律神経系が異常を起こすと、ちょうどパソコンがスタックした時のような状態になってしまいます。こんな時にはパソコンを強制終了して再起動させなければなりませんが、人では神経ブロックで自律神経にショックを与え、その働きをリセットしてあげることが必要です。自律神経をリセットするなんて、残念ながら僕が知る限り薬を飲む程度では不可能なんです。唯一神経ブロックが可能にしています。
神経に針を刺すのはなんだか不安だ!、痛そうだ!と思われることでしょう。でも心配には及びません。私は15年以上外来や入院患者様に延べ何十万回も神経ブロックをくり返して来ました。しかしとても細い針を使い丁寧に行われるので、注射を痛がる方は少ないですし、技術的にも確立された非常に安全性の高いものの部類に入ると思われます。日本ペインクリニック学会の認定医であればそれ程心配はいりません(実際、行う医師にとっては高度の技術が必要な神経ブロックもあります)。
星状神経節ブロック療法は頸椎の異常から起こる痛みや不快感、胸より上の帯状疱疹、片頭痛など上半身の痛みを伴う治療法としてよく知られています。また、一般的な治療法で治りにくい花粉症や自律神経失調症、更年期障害などの病気にも効果が認められています。 今のところ200種類以上の病気や症状に効果が確認されており、治療目的の改善と同時にそれ以外の身体の様々な不調が好転していくこともしばしばです。
また、硬膜外ブロック療法は主に首から下の不調の時に行います。帯状疱疹、レイノー病、レイノー症候群、急性動脈閉塞症、バージャー病、肩手症候群、頸肩腕症候群、頚椎椎間板ヘルニア、外傷性頸部症候群、胸郭出口症候群、乳房切断後症候群、腱鞘炎、頸椎症、腕神経ニューロパチー(外傷性、術後)、関節炎、肩こり、腰胸椎椎間板ヘルニア、変形性脊椎症、座骨神経痛、大腿骨頭壊死症、バージャー病、閉塞性動脈硬化症、肢端紅痛症、肢端紫藍症、足根管症候群、下肢静脈瘤、こむら返りなどなど様々な病気に有効です。
当院も、日本ペインクリニック学会の認定医が毎日治療を行い、着実に効果をあげています。
以下に代表的な神経ブロックの説明をします。
|