ホントに有った話し、私がホントに経験した世にも不思議な話しをしましょう。 あなたの知らない世界にお連れしましょう。 そうですね〜、もう今から10年ちょい前の事ですか。 9月もそろそろ終わりのころだったと思います。 シーズン最期の釣りへ行くために、前日の夜から出かけていました。 車で夜中の峠道を駆け抜けておりました。 田舎の峠道のこと、他の車には1台とも会いませんでした。 車も走らなければ、民家も無い、ましてや街路灯なんてものは一つも有るはずも無く、漆黒の闇ですから、寂しさも、若干の薄気味の悪さも正直感じてました。 しかしながら、この手のことには慣れてもいますから。いつもこうやって釣りに行っているわけですから。 私は車内でお気に入りの音楽を、眠気覚ましに聴きながら、快調に飛ばしていました。 峠も下りにさしかかり、もう数分も走れば民家の建ち並ぶ所です。 下りの大きなカーブを曲がりきった、その時です! 一人の、そうですね20代半ばから後半くらいの女の人が、ポツリと立っていました。 一瞬のことですから、もちろんハッキリとはしませんが、そういう印象を受けました。 その周辺には民家も無く、いるはずの無い所に女の人ですから、とても気になりました。 車のスピードを落としながら考えました。 『もしかすると、助けを求めていたのかな?車のトラブルでも有ったんじゃないだろか?まさかね、幽霊なんてね。い〜や俺は信じて無いからね。』 私は、正直、恐怖心を感じながら引き返すことにしました。 『確か、この辺りにいたはずなんだけど・・・・?』 先ほど、立っていた場所には、あの女の人の姿は有りません。 ゆっくりと、人が歩くほどの速さで車を移動させながら、周りをのぞき込むように女性の姿を探しました。 『あれっ、何だこんなところに車が有るじゃないか』 真っ暗な曲がりくねった道ですし、周りは森に囲まれていましたから、来る時は待避所に止まった車を見落としていました。 『やっぱり、車のトラブルでも有ったのかな?大丈夫かな、さっきの人は乗ってるのかな?』 私は止まるほどのスピードで、ヘッドライトでその車を照らしました。 すると・・・・・ 「ギャーッ!!」 漆黒の闇を切り裂く女の人の悲鳴! そして、ヘッドライトに映し出された鬼の形相。 眉を吊り上げ、目を見開き、口を裂けるほど開け、牙をむきだしにし・・・・今思い出しても背筋に寒気が走ります。 『あわわわわ・・・・許して下さい!み、見るつもりじゃ無かったのです・・・・ゆ、許して。』 私は、あまりの驚きに車を動かすのも忘れ、しばらく見入っていたような気がします。 嫌、本当のところは1秒か2秒だったのかもしれません。 よくよく考えれば、そんなに長く見つめていたはずは有りませんから。 我を取り戻した私は、精一杯のスピードで車を走らせ逃げました。 車を走らせながら、私の脳裏には、あの凄い形相と、眩しいばかりに照らされた、真っ白なお尻が鮮明に浮かび上がっていました。 『もう、5分も走れば公衆トイレ在るのにな〜。別にあんな所でしなくても。くくくく・・・。』 大昔の話しなんですが、そう私がまだ小学生の時のことです。 もちろん小学校は木造でした。所々床に穴が開いているような。 そして当然トイレも似たようなものでした。トイレと言うか便所です。 当時、トイレ等と言わなかった。もし言ったとしても男が言えばオカマ扱いされてましたよ。 どこの学校でも有ったと思いますが、やっぱり私たちの小学校にも、いかにももっともらしく伝わる怪談が有りました。 ある日のことです。我がクラスのガキ大将が皆に言いました。 「南の便所の話し、知っているか?」 「えっ、知らんけど。」 「よし、教えてやろう。いいか・・・・。」 「いいか、これは絶っ対ホントの話しや。俺は6年生の子にも聞いたし、俺のおじさんにも聞いたから。先生も言っていたらしいし。 南の便所のうんこする所の右から2番目、そこに入ったことの有る奴は、いないはずや。 だってな、あそこに入った奴はみんな便器に中に引きづり込まれるからな。 そして、手を便所入れただけでも手は腐ってしまうんだ!」 「えーっ、本当?」 「本当さ。だって俺のおじさんが言ってたからな。先生も言っていたらしいし、な。」 「ん、ん、俺も聞いたこと有る。」何て言う者も出て来た。 私らの中に緊張が走りました。 しかし私はこう見えても、若干5歳で、たかだか5歳でサンタクロースは実在しないと喝破したほどの人間です。 「そんなの嘘や。嘘に決まってるさ。」 そのガキ大将の言うことに、一人として逆らうことの出来なかった友人達の中で、遠慮しらずの私は言ってやったのです。 「何ーッ!俺の言うことが嘘って言うのか?んじゃ、お前、あの便所に手を入れてみろよっ!」 さすがの私も、たじろぎました。100%迷信だと信じてはいましたが。 そうでしょ?例えば祟りなどは無いと思っていても、無縁仏の墓石に小便をかける何て出来ないです。 例えば、うんこを消毒して綺麗になったからと言って、食べることは出来ないです。 たじろき、おののきましたが、私も覚悟を決めました。 「良し分かった、これから行こう。やってやるよ。」 ガキ大将を先頭に、我々数人は南のトイレに向かったのです。 そう、そこで待っている出来事も知らず。 「さあ。やってみろ!」トイレに着くと、ガキ大将は大声で命令しました。 私がビビっているのを見透かしたように。 私は大きく深呼吸をして、「よし、やるよ。開けるよ。」 右から2番目の便所の、木製のドアを開けました! しか〜し!私は驚きの余り、すぐにドアを閉めたのです。 そして私は、一目散に逃げ出しました。 『あわわわわ・・・・許して下さい!み、見るつもりじゃ無かったのです・・・・ゆ、許して。』 私は見てはいけないのもを見てしまったのです。タブーに触れてしまったのです。 私のとても驚いた様子に、私の青ざめた顔を見て友人達は私を追いかけながら聞きます。 「どうした?中に何か有ったのか?」 私は立ち止まり、深呼吸を一つ二つして何とか落ち着きを取り戻すと、みんなに恐るべき真相を語ったのです。 「はぁ、はぁ・・・・じ、実は・・・・・・・ ・・・・お、女の子が・・・・ ・・・・・う、うんこしてた。」 私は、突然トイレのドアを開けられて、薄暗い中、照れくさそうな不安げな面もちのあの少女の顔を今でも忘れることが出来ません。 『でもさ、鍵くらいかっておけよな。』 この世の中には、見てはいけない物、触れてはいけない物が有るのです。 開けてはいけない物が有るのです・・・・・。キャーッ! |
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