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教育分野の情報化

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 近年、教育分野でも、コンピューターの導入などの情報化教育が進んできています。
ここでは、情報化は教育にどのような影響を与え、どのような変化をもたらしているのか、その現状を調べてみたいと思います。ご意見是非お寄せください。

現状


▲日本のコンピュータ設置学校数の推移(%)


▲アメリカのコンピュータ設置学校数の推移(%)

アメリカの学校のコンピュータ事情

 上のグラフより、アメリカでは、日本よりだいぶ前から整備が始まって、10前には、すでに100%近くなっていると言うことがわかります。中学校で見てみると、日本が13%の時には、アメリカでは約97%程度にも達しています。
また、情報ハイウェイ等で、学校間のネットワークやインターネットへの接続なども進んでいる。

日本の学校のコンピュータ事情

コンピュータの設置率
 左のグラフより、日本の中学校、高校のコンピュータの導入率は、100%に近く、ほとんどの学校で設置されているということがわかる。
また、設置台数も、中学校で平均23.9台、高校で61.9台で、2人に1台もしくは、1人に1台となっている。(平成7年)
文部省の現在の整備水準では、小学校で2人1台、中高校で1人1台としている。

インターネットへの接続
 NTT文部省で企画する『こねっと・プラン』通産省文部省の『100校プロジェクト』というものがあり、いろいろプロジェクトが進んでいる。
しかし、全体数からいえば少ないのが現状で、すべての学校が接続するという状況ではない。また、坂下中学校のように、インターネットに接続できる環境があっても、生徒は使えないという所も多いと思う。

ホームページ開設
 また、ホームページを公開する学校も増加してきているが、教師が個人的に掲載した生徒のデータが個人情報保護条例に違反するとして、教育委員会が指導するという問題も出てきている。
ほとんどの場合は『校長あいさつ、生徒会あいさつ、教育方針...』と決まった事柄だけのページも多く、外部からみておもしろい、もう一度みたいと思うページはすくないのが現状。


お寄せいただいたご意見


 最近は研究のデータやソフトウェアをまとめた ftp サイトが 多くできています。従来、データやソフトの製作者にいちいち 問い合わせをして取得していたものが、簡単にダウンロードで きるようになっています。研究の情報も、それぞれの分野のメ ーリングリストに流れてきますし、共同研究者との連絡もメー ルで迅速に行えるようになって、とても研究がやり易くなった ことは確かです。
ただ、ものを考えるというのはおもしろいもので、ひとりで考 えていてもわからなかったことが、誰かと討論をしているとわ かったりすることがあります。(思考のリズムや、場の雰囲気 というものが大事なのでしょう。数学を考えるときも、ホワイ トボードにサインペンで計算するより、黒板にチョークで計算 する方が、不思議と良く考えがまとまったりします。) です から、情報をやり取りすることで満足せずに、本当に顔を合わ せるということもやはり大切にしなければならないと思います。
また、研究の情報化の大きな問題点は、計算機の面倒を見る仕 事が極く一部の研究者に集中していることです。まだまだ計算 機は扱いにくい機械であるために面倒を見れる人が少なく、で きる人達だけがその為に多くの研究時間を失っているというの が実情です。(これはどこの職場でもそのようです。)
研究者が計算機の世話もする、というのではなく、計算機の世 話を専門の仕事にする人を(大学以外でも)早急に作る必要が あると思います。

大学助教授


 まさか、教育(学校)の情報化=コンピュータの操作ができる ようになること、などとは考えておりませんが、教育現場では、 程度の差はあっても、近い考え方があることは事実でしょう。 最近は、インターネット、マルチメデイアと叫ばれているが、 それを上手に使いこなしている人は、まだ、少ないように思うが。 コンピュータは、多少値段の高い「おもちゃ」と考え、そう構え ないで、自分に合った「おもちゃ」ならつき合って、楽しくやれ ば良いし、性悪と思ったら、程々で良いと思う。
しかし、将 来、今以上に生活の中に入ってくることは、確かと考えます。
現在、電気やモータ、自動車など、その仕組みを十分知らなくても、 自然な態度で、共存していますよね。
興味があれば、その方面の改良、新型作りに進むのも良いでしょう。 要は、自分に合った分野で、エキスパートになること、高いレベルま で極めることが大事ではないでしょうか。まず、国語が好き、考古学 が好きなら、その分野の1人者を目指すことが必要だと思います。 (あるレベルまで達し、さらに、上を目指す意志があれば、何か手だては ないだろうか、と思案し、多分、情報の宝庫、インターネット利用や、 人との交流のためネットワーク作りに行き着くと思います。)
さりとて、学校教育で、そんな悠長なことは言っておれない、
どうすれば良いの?この答えを見いだすため、学校の先生方は、 研究会、講習会で、勉強しているところです。
難しい問題と思います。まず、自分自身が、君のような体験をすることが一番でしょうが。
社会人になると、他にもいろいろやることがあって、なかなか、情報教育について、深く思索できない状況、現在は、インスタント時代で、即効性を求める時代背景もありますし、コメントになったか、どうか、牛の涎みたいに、切れ味の悪い文章になってしまった。ただ、教育の受け手側の意見は、大変貴重です。そして、健全な判断力を持った中学生がいると言うことは、この国も将来に多少希望が持てると感じております。

高校教諭

私のいる公立中学では、何と授業では3学期に1、2回パソコン 室を使うのみ、といった状態です。(技術家庭科で)これではいかんと思い、 今年は担任もなかったので、市の2種研究員という制度に手をあげ、部活動 (文科系)で何とか年度末までにはHPをつくろうと、孤軍奮闘しています。
一番の問題点は、現場のマンパワー不足です。まわりに詳しい人、困った時に 声をかけられる人がいないのです。私は教科が英語なので、理数系の知識はない に等しく、未読のマニュアルや資料を横目にひたすら夏休みを待っていました。
同じ公立中学でも、パソコンにとても詳しい先生が何人かいる学校では、生徒 の教育の機会がよりたくさんあるわけです。じゃあ、がんばれよーとお思いかも しれませんが、本当に学期中は日々の仕事に追われて、自転車操業なのです。
いっそ、教員採用の条件を「パソコンができること」にすれば、将来の人材の
問題はクリアできるかもしれません。(でも、運動系の部活の顧問はたりなく なるかもしれない・・)

NIFTY教育フォーラム会議室より


教育における情報化に関する現状での問題点を以下に列記します。

1、情報化教育の将来像を示さないまま機器導入が先行している。
2、教育現場における位置づけが曖昧である。
3、質量ともに指導できる教員が不足している。
4、良質な教育用ソフトが入手できない。
5、ハードウエアがビジネス用かホビー用で教育用に作られていない。

情報化教育を「コンピュータ教育」、「コンピュータを使った教育」の いずれに力点を置くか、議論しないまま機器の導入が先行しました。
  急速に普及するOA機器に適応できない、おじさん達は「アメリカでは 幼稚園児からパソコンを使っている」のキャッチフレーズに弱かったの ですね。 ビルゲーツのような存在も、早期教育必要論を加速しました。
ところが、コンピュータを使って教育の手助けをする(CAI)に使う にはハード・ソフトとも能力不足でした。 熟練した教員の手法を忠実 に再現して、生徒の進度に合わせた教育を可能に出来る人工知能(無能) は開発途中で足踏みしていますし、パソコンの設計思想と大きく異なり ます。
また、ソフト開発にしても知識工学に精通した技術者を、教育用ソフト 開発に振り向けることをしませんでした。 教育現場に与えられた物は、 電子ページめくり機か陳腐なゲームソフトみたいな完成度の低い教育ソ フトでした。 独自に教育用ソフトを開発された先生もおられましたが、 普遍的な教育用ソフトにまで発展するには無理がありました。
ソフトハード環境に加えて、情報教育に精通した教員の養成をまったく 考慮していなかったという、驚くべきシステムですから、実際はお絵か きソフトかワープロやデータベースの使い方を教える程度でお茶を濁て います。
結果、中途半端な機器やソフトが現場に導入されました。 現場では使 われることのない、ハードソフトが埃を被っているか生徒にお絵かきを させて、お茶を濁しているのが大多数と聞きます。 利益を得たのは、 在庫一掃ができたメーカだけだった様に感じます。
教育と情報機器のあるべき姿を、原点に立ち返って検討して描いていか ないと、大きな禍根を残すことになります。 
教育関係のお偉いさんがNCSAなどに出かけてハードの凄さだけに目 を奪われて来ますが、人的資源や有能なスタッフを支えるシステムを学 んできません。 結局、金物にだけ予算や補助金をつぎ込んで盛大なス クラップの山をこれからも増やして行くのでしょう。。。。。
限られた教育関係予算の中から、買い物に行くのに戦車に乗って行くよ うな物と比喩される、高性能機を買うよりは、芋掘り遠足に予算を振り 分けた方がよっぽど子供達のためです。
お絵かきソフトで小ぎれいな絵を描くより、ペンキまみれで体育館の壁 に絵を描いた方がエキサイトすると思いませんか。。。。。?

NIFTY教育フォーラム会議室より


岐阜県では、4月に全小中学校にパソコンが配布され、インターネットに接続されています。
ホームページを開設しているのは、ど真ん中の学校では、中津商業高校中津川工業高校坂本中学校福岡中学校坂下中学校蛭川小学校の6つの学校です。
夏休み中に先生達にがんばってもらって(大変なことですが)どんどん増えていくことを願っています。
 今は、まだ職員室の中にあって、先生も数人しか使っていないのが、現状で、なるべく多くの先生が使えるようになっていかないと、教育と言うか、学校での道具として育たないし、子ども達も興味をしめさない。

Takenet 武川様 

この章のまとめ


現在の学校のコンピュータの設置率では、中学校、高校ではすでにほとんどの学校で設置されているということがわかりました。
 しかし、『お寄せいただいたご意見』にもあるように、ソフト面(人材やソフトウェア)よりハード面をとりあえず揃えたと言う状況で、結局の十分に活用できていない。導入しても、教員が不足していたり、ソフトウェアが無い、いざとなったらマシンのパワーが足りない。そして結局は活用できずにただのごみになってしまうと思います。。
アメリカでは、現在パソコンを導入するということの次のステップネットワークへの接続を推進しています。そういう時代だから、予算をつけるからパソコンを揃えろではなく、こんなことに活用できると言う目的もって導入していってほしいと思います。
 僕の考える高度情報化とは、誰もが同じようにパソコンを使えるようになって、みんなが同じようなことをしている、というものではなく、それぞれの人が自分の道具として有効に活用していくことだと思います。
 現在の小中学校の教育(坂下中学校の場合ですが)では、パソコンに親しめる、パソコンが使えるようになるというような教育(お絵かきソフトやN88BASICを使ってプログラムを作ってみたり)で、情報化教育ではなくパソコン学校的なものです。
これでは、逆にコンピュータにはこれぐらいのことしかできないのかという感想でふつうのゲーム機となにも変わりません。この移り変わりの早いコンピュータの使い方を教えるという方が無理な話で、いくら古いパソコンでも、どこかの学校と接続するとか、インターネットを活用するなど真の情報化が求められると思います。
 結局は、規制、規制の中で教育も行われていて、その延長線上に情報化教育というものがあるだけで、好奇心が大切な教育なのに、好奇心を押さえる教育になってしまっている。 インターネット等の情報化に限らず、いままでの先生の一方的な一斉教育ではなく、もっと生徒が自由に知りたいことを学ぶことができるような教育が今の日本には必要なのだと思います。
 つまり現在の図書館的役割という面と、もう一つの双方向も生かし、今までの一斉教育では学ぶことができなかった、柔軟で教科書、指導要領にとらわれない自由な教育をしていってほしいと思います。
 ホームページにしても、学校紹介や校長あいさつ等の一方的な情報を提供するよりも、共同学習の道具とか、チャットで討論をするとか、情報をやりとりできるようになると、より勉強になるのではないかと思います。

参考資料

文部省ホームページ
ネットワークと教育
INTERNET Watch
 生徒の自己紹介を掲載した教員の個人ホームページに削除命令
 岩手の小学校で学級紹介のホームページに閉鎖指導
こねっと・プラン