title.gif (22239 バイト)

インターネットと匿名性

 昨年度は時間がなくて結局2つしか書くことができませんでした。今年はもっとたくさん、そして深く追求できるように頑張りたいと思います。
はじめに、今年になってからマスコミでよくいわれて話題になっている"インターネットを使った犯罪"というものについて考えてみたいと思います。97年度は、不正アクセスや、コンピューターウイルスについて取り上げましたが、今回は最近の事件で問題となっている匿名性について考えてみたいと思います。

状況&まとめ

 今テレビや新聞でインターネットを使った犯罪のことが問題となっています。入手困難な薬物をインターネットで購入できたり、犯罪の情報交換に使われているといったものです。しかしインターネットのもっと身近の部分でもいろいろな問題が発生しています。このような身近な部分からインターネットのコミュニケーションの上での問題点を考えてみたいと思います。

 掲示板・チャットといったものが問題となっていますが、その中で一番問題となっているのが、インターネットを使うと『匿名でコミュニケーションができる』という点のようです。インターネットでは、不特定多数の人に一方的に情報を流して、それを受け取るというテレビやラジオのような受動的なものではなく、ホームページなども含めて情報を流す側とそれを受け取る側のコミュニケーションで成り立っています。自然と特定の話題の掲示板にはその話題に興味がある人が集まり、確実に知りたい人に情報を伝えることができます。このようなことは今までのメディアではできなかったことですが、インターネットではそれを簡単に行うことができます。そして、コミュニケーションをするためにインターネットに接続している人は全体の50%にもなります。

 しかし、顔があって口があってコミュニケーションしていたものが、IPアドレスという数字だけでしか個人を識別することができなくなり、このIPアドレスもプロバイダが自動的に割り振るのものなので、本人が名乗らない限り匿名です。匿名といっても自分の本名を名乗ってはいけない訳ではないので、そのあたりを判断する権利を個人がもてるようになったということだと思います。この点は本音でコミュニケーションができるなどの利点があります。が、しかしその使い方を誤ると犯罪に発展したり、人の心を傷つけたりするのも事実です。

実際僕も、いろいろな掲示板やチャットをみてみましたが、ほとんどの場合で匿名ということは対等な立場でコミュニケーションをするのにとても都合がよく、また匿名でも問題は起こっていません。半面、マスコミの報道などでいわれている薬物の売買など、インターネットの陰の部分ではなくても、匿名性を悪用して無責任な発言・誹謗・中傷や個人のプライバシーの公開・他人へのなりすまし行為などいろいろな問題点が起こっているのも事実でした。このようなことが起こるのにはどのような背景があるのでしょうか?まずはインターネットではほとんどの場合で責任が追求できないとう点だと思います。オフラインの社会ではプライバシーの侵害などは罪になりますが、オンラインの場合、その取り締まりや裁判を起こすことが難しくなります。また、現実社会のようにそれを監視・取り締まりをしたりする機関・法の整備が遅れているのも問題なのかもしれません。しかし一番問題なのは、上記のようなことから情報の送信者・発言者が、自分の発言に責任はないものと思いこんでいることにあるのだと思います。

またインターネット上での"いじめ"的行為もたくさんありました。被害者のプライバシー情報を流したり、掲示板でその人に成りすまして発言したりするものです。このような状況をみていると、今オフラインでも問題となっている問題がそのままインターネットで拡大されて現れているような気がしました。
インターネットといっても結局は人間と人間との関係であって、人間と機械の関係ではないと思います。なのでしっかりと日常の世界とバーチャルの世界とをリンクして、自分の発言に責任を持つことができれば、そして何よりも人間関係を大切にしていくことができれば、匿名という点は特に問題にはならないような気がします。

 インターネットは確かに便利な道具ですが、使い方を誤れば武器となってしまうのも確かです。そしてインターネット上で起こっていること、それは決してバーチャル世界だけで起きていることではなく、同時に普通の世界でも起こっていると言えます。

こうやって考えてみると、インターネット上で起こっている上記のような"いじめ"、"プライバシーの侵害"といった問題は小学校で習うような『人の気持ちを思いやる』とか『その人の気持ちになって考える』などといった基本的な部分が欠如しているために起こる問題だと思います。インターネットでは情報が不特定多数に流れる可能性が高いこと、また画面の向こうにいる人の気持ちがあまり伝わってこないことを考えると、そういうことはいままで以上に意識していかなければいけないと思います。

 また、薬物売買などの違法行為についてはしっかりと取り締まれる体制を整えていかなければいけないと思います。そしてインターネットを今まで以上にもっと便利に、そして人間にとって有効な道具になるように、インターネットを使う人、また情報を発信する側として努力していかなければならないと思います。




お寄せいただいたご意見





関連資料


  インターネット白書'98
  毎日新聞『インターネット事件取材班』
  郵政省ホームページ
      郵政省『インタ−ネット上の情報流通について』報告書
  警察庁ホームページ
   


21世紀情報社会を生きるへ
メインページへ
ryuuji@takenet.or.jp