発刊を祝す

 鎌田宮雄さんが坂下のことについて、長年の研究の成果を一冊の本「ふるさと坂下」にまとめて発刊されることを、心からおよろこび、お祝い申し上げます。
 あなたは、前々から郷土史に興味を持たれ、ふるさとを訪ね歩き、地道な取材活動を続けてこられました。そして今では殆どの人が忘れてしまっているか、消えてしまったふるさとの伝えばなしや、昔の生業を堀り起し、まとめて下さったことに敬意を表します。
 以前、広報さかしたに、ふるさとの伝えばなしや生業を連載していただきましたが、この度の「ふるさと坂下」は、ふるさとを知る上で誠に貴重なものであり、末長く坂下のみなさんに親しまれ、読みつがれ、心に残るものと確信しております。
 十数年にわたって、取り組まれ、発刊されるまでの御苦労は並大抵のことではなかったと思います。インクの匂いも清々しい自分が心血を注かれた「ふるさと坂下」を手にとられた時のあなたの満足そうな顔が目に浮かびます。すばらしい仕事をなしとげていただいたことを心からお礼を申し上げます。
 ふるさとには未だ埋もれて消えてしまう運命のものが沢山あるように思います。どうか今後も続けて下さい。「ふるさと坂下」第二集、第三集の続刊を願い、この度の発刊をお祝い申し上げます。

昭和五十九年吉日
教育長  石垣 明