亀岩(寺尾洞)


 飛信街道(現、加茂街道)の寺尾洞の大山茶園の上道を通り、黒沢へぬける途中に亀岩があります。
 この岩は、亀の形に似ていることから亀岩といわれています。縦約ニメートル横一メートル高さ五〇センチほどの石の横に穴があいております。
 この穴か、庶民の願いにこたえて伝えばなしを生みだしてくれました。
 このあたりは、福岡広恵寺へ通ずる飛信街道筋であり、木の鬱蒼(うっそう)と生い茂ったたいへん寂しいところです。
 岩の穴にたまっている水は、疣(いぼ)によくきくというのです。医者に遠く、医者代が高かった頃、よくここへ願かけに来る人がありました。戦前、上野に住んでいる人は、一辺は御厄介になっております。
 ここにきて、疣が治るようにお参りして水をいただいてつけると、不思議にもよく治るのです。
 お礼参りは、かならずしなければなりません。小石を願かけただけ川原で拾ってきてまわりに敷くことと、出来れば、楮の木を切って竹をけすってさして、きりの形を作り、それを十個位連ねてお参りするようにもなっていたし、幟を建ててもいいし、お金(十銭銅貨)を穴の中へ入れてもよいのです。


寺尾洞にある亀岩▲



参考文献と話を開いた人
恵那郡史
坂下町史
鷹の湯……坂中文芸部
西尾益太郎(本郷)
鎌田 宮一(宮ノ洞)