おわりに

 最初に、お詫びしなければならないことがいくつかあります。吉村薫前町長さんに“発刊にあたって”をお願いしましたが、延び延びになってしまって任期中に発刊できませんでした。お許しください。
 発刊にあたって多くの方から何度も催促がありましたが、文章構成、資料収集、印刷所交渉などで延び放題になってしまったことを書面を借りてお詫びいたします。
『坂下新聞』に、昭和四十七年新年号より“坂下の伝説”と題して二年間にまたがって掲載させていただき有難うございました。再調査をしたり文章を訂正したり未掲載の分を加えたりして、“伝えばなし”としてまとめてみました。また“坂下の生業”は、昭和五十一年新年号より一年半にまたがって掲載させていただきましたが、それに資料を出来る限り掲載してみることにしました。まだ坂下には多くのものが残されていると思いますが、これまでのことについては私としては精一杯でした。
 時代は、急速に変わっています。たとえば、取材当時は製糸業では濃信社も松田製糸もありました。矢渕の旗巻渕の写真の岩は、バイパスによって破壊されてしまいました。数えれば限りがありませんが、保存していけるものは私たちの力で守っていくことが先人に対する義務だと思います。

 この本が出来上るまでに、数多くの人に協力していただき心より御礼申し上げます。十数年の間には、多くの古老が他界され目の見えるうちに発刊できなかったことを深くお詫びいたします。
 文章訂正で日比野一郎前校長先生にお世話になり、印刷校正で付知町教育長伊藤英治氏に協力していただきました。また、陰から叱咤激励してくださった前々町長吉村新六氏に厚く御礼致します。
 最後に、発刊を機会に今後も取材活動を続けていきたいと思っています。


発行日 昭和五十九年九月一日
著者  鎌田宮雄