コンチネンタルのスタッドレスタイヤをお薦めします。

最新のContiVikingContact6をWRXで試す。【雨の高速道路編】
路面とタイヤの間にある水膜がタイヤを滑らせる。例えば滑りにくい長靴を履いたとしても、カラーコンクリートに水を撒くと、その表面と長靴のゴムとの間に水の膜ができて、足の踏み出し方が悪いと恐ろしいほど滑る。ここはまるで氷の上に居るようだ。氷とタイヤの間にできる水の膜は、もっと威力がある。工房の床を洗いながら滑る怖さをカラダで学んだ。その翌日、コンチネンタルのスタッドレスタイヤが届いた。 コンチネンタル社はドイツの老舗企業で、世界で初めて冬用タイヤを作ったメーカーだ。昔から良い冬タイヤを作るが、日本で知名度が低い。1952年にスノータイヤを開発すると、20年後の1972年に逸早くスパイクレスウインタータイヤを発売した。それが歴史あるブランド「ContiContact」だ。 コンチネンタルはタイヤメーカーでありながら、走行安定装置(VDC)の開発もしている。スバルは4WDとABSをアクティブセイフティと考え、今ではほぼ全てのクルマにVDCを標準装備した。一方コンチネンタル社もトレッドパターンを研究し、VDCを効果的にサポートするウインタータイヤを開発した。だからスバルとの相性がとても良い。
昨年からコンチネンタルはウインタータイヤのバリエーションを統合した。日本国内で特徴を際立たせるために、スタッドレスタイヤに集中してノウハウを投入した。そして今年から日本でウインタースポーツラジアルの販売を止めた。両方を用意するより主力をスタッドレスに定め、確かな走行性能を発揮するよう改善したのだ。そこで最新のスタッドレスタイヤ、ContiVikingContact6をWRX STIに装着した。18インチで幅が245もあるので、ハンドリングにタイヤの個性が大きく表れる。 タイヤには7℃と3℃の法則がある。路面温度が低くなるにつれ、徐々に硬化するゴムを、低温でも柔軟さを失わないように配合する。それがウインターコンパウンドの特徴だ。 気温7℃を境にしてサマータイヤのコンパウンドは、スタッドレスタイヤのコンパウンドと柔軟性で拮抗する。気温7℃を下回る日が続いたらスタッドレスに交換しよう。その方が安全で摩耗も遅い。ぎりぎりまでサマータイヤで過ごすのは、早くタイヤが減るので損だ。7℃以下ではスタッドレスタイヤの方が摩耗しない。そして気温が3℃を下回ると、サマータイヤは十分なグリップ力を失うので、路面状態に関わらずスタッドレスタイヤを装着する。 ウインタータイヤのコンパウンドには、どこの製品でもそれぞれの知恵が練り込まれている。スタッドレスの歴史で一歩先んずるコンチネンタルは、他より劣るウインタータイヤを作る事は無い。ミクロの世界で液体の膜を取り除くことに、どこのタイヤメーカーも腐心し、氷面から水膜を徹底的に取り除くように工夫した。ContiVikingContact6には、コンパウンド以外にも面白い特徴がある。赤く塗った部分を注目しよう。ドライ路面で横方向に力が掛かると、隣り合うブロックがガッチリ接合する。ここが咬合するとブロック剛性が増すだけで無く、VDCが作動した時の特殊な制動力の掛かり方に効果を発揮する。
コンチネンタルはVレンジのウインタータイヤを作った。高速道路で使うとその経験が生きる。スタッドレスタイヤは外見上だけで判断が難しい。ランプウエイを加速すると、グニャグニャした印象が少ない事に気づいた。横剛性が高くなりハンドリングに良い効果が出ている。 スタッドレスが一番苦手とする、10℃以上の濡れた路面で試した。ContiVikingContact6に確かな手応えを感じた。走らせた最初の印象はスタッドレスタイヤそのものだが、ステアリングの操作に対して腰のある反応を示す。だからヨーレートがリアルに立ち上がり、グニャグニャした感じがしない。国産のスタッドレスタイヤに比べ明らかに考え方が違う。 一気に220km以上走らせた後、タイヤの表情を観察した。まだ新品と見間違うほどで、タイヤ表面にささくれなど全く無い。国産のスタッドレスは、路面温度が高いとサイプがささくれ立つ事がある。ContiVikingContact6にそのような傾向は全く無い。腰のある歯応えで、ハンドリングが良く、高速道路を飛ばしても安定した乗り心地だ。

 

tire
snowflake
BRZ

靴を換えるように「ウインタースポーツタイヤ」を装着したい。

 聞き慣れない言葉だがヨーロッパでは常識だ。上にある「snowflake on the mountain symbol (通称:雪山マーク」が付いたタイヤなら氷結路、圧雪路、シャーベット状雪路、氷着路、霜着路で使用して良い。だからスタッドレスだけで無くウインタースポーツタイヤも選べる。またスカンジナビア半島では「ノルディック」と呼ばれるソフトコンパウンドも人気だ。氷上性能だけなら、禁止されたスパイク>スタッドレス>ノルディック>ウインターの順で良いが、冬期のドライ&ウエットではウインター>ノルディック>スタッドレス>スパイクの順に性能が良い。ちなみに凍結していなくても外気温度が3℃以下ではゴムの硬化でグリップ力が下がるから、サマータイヤを使ってはいけない。日本のタイヤメーカーは冬用にスタッドレスしか開発していないが、使い分ける時代になった。さて、BRZに写真のウインタースポーツタイヤを装着したところ、操縦安定性が良くなり運転がとても楽しくなった。専用のコンパウンドとトレッドパターンのおかげで、ドライ路面を200キロ連続で高速走行してもササクレない。VDCを持つ高性能な自動車に推奨したい。

(かわら版vol.171より)

当社では、ブリヂストン、DUNLOP、PIRELLI、コンチネンタル、TOYO、YOKOHAMA各種タイヤを取り扱っております。