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原文は、2008年1月28日(現地時間)に行われたブッシュ大統領の最後の一般教書演説(全文)です。文字からの翻訳ではなく、英語音声から直接翻訳したものです。

ここをクリックすると、演説の音声や原稿がありますので、演説を聞きながら翻訳を読んでみてください(RealAudio というところをクリックしてください )。

これはあくまでも翻訳サンプルです。

ブッシュ大統領:下院議長、チェーニー副大統領、議員の皆さん、来賓の皆さん、そして市民の皆さん。この演台で最初に皆さんの前に立ってから7年が過ぎました。その間、わが国は誰も想像出来なかった試練を受けました。戦争と平和の難しい決断、世界経済の競争激化、そして、市民の健康や福祉に関する問題に直面しました。これらの問題には活発な議論が必要ですが、議論には事欠かなかったと言えるでしょう。(笑)しかし、意見の相違はあっても、私達は目的を持って行動したと歴史は記録するはずです。一緒に、アメリカの民主政治の力とたくましさを世界に示した、と。私達は皆、国民のために働くためにワシントンに送られました。それが、政府の目的であり、(就任)宣誓の意味であり、私達の責任です。第110議会は、会期終了後も長い間、国家の安全と繁栄に影響を及ぼします。今年は選挙の年ですが、私達の責任を自覚し、それを果たす決意を国民に示しましょう。共和党も民主党も、票を競いながら、結果を出すために協力出来るところを示しましょう。(拍手)

 

機会の拡大から国防まで、私達は前進しました。しかし、未完の仕事があります。国民は、やり遂げることを期待しています。今後の仕事では、アメリカを偉大にした理念に導かれなければなりません。アメリカ人として私達は、自らの運命を決め、歴史の方向を形づくる個人の力を信じています。また、私達の国を導くのに最も頼りになるものは、一般市民の集合的英知であると信じています。ですから、どんな場合も、自由な人間が持つ、賢明な決定をする能力を信頼し、将来のために生活を向上できるよう力を与えなければなりません。豊かな将来を築くには、国民に自分のお金の使い方を任せ、彼らが経済を成長させるように力を与えなければなりません。現在、アメリカ経済は不確かな時期にあります。52カ月連続という記録的な雇用拡大の後、ペースが落ちています。賃金は上昇しましたが、食品やガソリンの物価も上がりました。輸出は増加しましたが、住宅市場が落ち込みました。全米の食卓で、経済の先行きに不安の声が上がっています。長期的には、国民は経済成長に自信を持てます。しかし、短期的には、成長の減速は誰の目にも明らかです。ですから先週、ホワイトハウスは、ペロシ下院議長、ベーナー共和党下院院内総務と、骨太の成長計画案に合意しました。個人や家族向け減税、企業設備投資への優遇措置を含みます。この法案に利益誘導型支出を詰め込もうという誘惑がありますが、そうなれば、遅れるか頓挫するかです。どちらも認められません。(拍手)

 

経済成長を継続させ、雇用を維持する良い計画案です。議会は早急に可決しなければなりません。(拍手)

 

税については、他にもやらなければならないことがあります。議会が動かなければ、過去7年間に実現した減税の大半が失われます。ワシントンには、減税の期限切れは増税ではない、と言う人もいます。そんな説明に1億1600万人の納税者が納得しますか。平均1800ドルの増税になります。自分だったら増税分を喜んで払うと言った人もいます。熱意を歓迎します。国税庁は小切手、郵便為替の両方とも受け取ることを、ご連絡いたします。(笑)

 

大半の国民は、税金は十分高いと考えています。家計への圧迫が強まる中、給料に占める連邦政府の取り分が増えることを心配するなど、あってはなりません。この先行き不安を取り除く方法は一つしかありません。減税の恒久化です。(拍手)

 

議員の皆さんは覚えておいてください。増税法案が私のデスクに届いたら、いかなるものでも拒否権を行使します。(拍手)

 

国民を信用してお金の使い方を任せるように、私達は、税金を賢く使って国民の信用をえなければなりません。来週、私は議会に予算案を送ります。無駄あるいは肥大化した151の政府プログラムを、打ち切るか大幅削減するものです。総額180億ドル分です。この予算案は、2012年までに黒字を実現するものです。国民の家計は、収支を均衡させなければなりません。政府予算も然りです。(拍手)

 

国民の政府への信頼は、議会の利益誘導型支出により損なわれています。審議や討論なしに、土壇場で法案に紛れ込ませる特別利益団体のプロジェクトです。昨年、議員の皆さんにこのような支出の数や額を、自主的に半減するよう求めました。また、投票に付されない委員会報告に、こっそり入れるのをやめるよう求めました。残念なことに、いずれも達成されませんでした。ですから今度、利益誘導型支出を半減させない歳出予算案を議会が送って来た場合、拒否権を行使し送り返します。(拍手)

 

明日、大統領令を連邦政府機関に出し、今後は、議会の票決を経ていない利益誘導型プロジェクトを無視するよう指示します。予算をつけるに真に値するなら、議会は公に議論し、票決に付すべきです。(拍手)

 

私達に共通の責任は、税や支出にとどまりません。住宅政策では、家を所有する責任を国民に任せ、彼らが住宅市場の荒波を乗り越えられるように力を与えなければなりません。私の政権は、「ホープ・ナウ同盟」を結成しました。苦境にある多くの住宅所有者が、差し押さえを回避できるよう支援するものです。議会にはもっと出来ます。今日、私は、連邦国民抵当協会と連邦住宅金融抵当会社の改革を議会に求めます。連邦政府の住宅行政を近代化し、州の住宅機関に免税公債の発行を認め、自宅所有者の住宅ローン借り換えを支援するものです。(拍手)

 

多くの家庭にとって厳しいときですが、これらの措置により、より多くが自宅を手放さなくてすみます。質の高い医療を構築するためには、患者や医師を信頼し、医療に関する決定を任せなければなりません。また、よりよい情報や選択肢で力を与えなければなりません。私達には共通の目標があります。医療を安くし、すべての国民の手が届くようにすることです。(拍手)

 

その目標達成のために一番良いのは、政府の管理ではなく、消費者の選択肢を広げることです。(拍手)

 

ですから、雇用主を通して健康保険に加入していない人への、税法上の差別条項を廃止するよう提案します。この改革だけで、数百万人が民間健康保険に手が届くようになります。議会に年内法案可決を求めます。(拍手)

 

議会は、「健康貯蓄口座」も拡大しなければなりません。また、小企業のための団体健康保険創設、医療における情報技術利用推進、くだらない医療過誤訴訟への対処に取り組まなければなりません。(拍手)

 

これらにより、国民の医療に関する決定は、議会ではなく、診療室で医師と患者の間で行われるようにします。(拍手)

 

教育については、機会を与えられた生徒の学習意欲を信じ、学校に成果を求める権限を親に与えなければなりません。全米各地に夢見る子ども達がいますが、実現のために唯一期待できるのは、しっかりした教育です。6年前、私達は協力して「落ちこぼれ防止法」を制定しました。今日、その成果を否定することはだれにも出来ません。昨年、4年生と8年生は、数学で記録的なスコアを出しました。読解のスコアも上がっています。アフリカ系やヒスパニック系の生徒のスコアも史上最高でした。(拍手)

 

州や学校区に柔軟性を与えたことで、高校中退が減ったり、苦戦する学校へ重点支援が出来るようになりましたが、今度は、説明責任を強化しなければなりません。議員の皆さん、「落ちこぼれ防止法」は党派を超えた成功です。成功を収めています。児童や親、教師に対し、このすばらしい法律を強化する義務が、私達にはあります。(拍手)

 

学校が基準を満たさない場合には、生徒への支援を増やさなければなりません。議会が承認した「DC機会奨学金」のおかげで、首都ワシントンの2,600人以上の最貧困児童が、宗教系学校や他の非公立学校で、新たな希望を見つけました。残念なことに、このような学校は、大都市スラム街で急速に消えつつあります。ですから、この「学習の生命線」を強化し、もっと多くの子ども達に門戸を広げるために、ホワイトハウスで会議を開きます。3億ドル規模の「児童向けペル奨学金」創設への支持を、議会に求めます。「ペル奨学金」は、低所得大学生の可能性を開花させて来ました。私達は協力して、この奨学金の規模や対象を拡大してきました。同じ精神をあてはめ、今度は、公立の破綻校から貧困児童を解放しましょう。(拍手)

 

貿易については、アメリカ人勤労者の世界における競争力を信じ、海外の新市場を開放させることで、彼らに力を与えましょう。今日、アメリカ経済の成長は、アメリカ製品や農産物、サービスを世界中で販売する能力に、依存を強めています。ですから、可能な限り、貿易や投資の障壁を壊しています。貿易交渉ドーハ・ラウンドの成功に向け、取り組んでいます。今年、良い合意をまとめなければなりません。同時に、FTA(自由貿易協定)の締結により、新市場開放の機会を追求しています。ペルーとのFTAを承認していただき、議会には感謝しています。今度はコロンビア、パナマ、韓国とのFTAを承認するよう求めます。(拍手)

 

これらの国の多くの製品は、無関税でアメリカに入っていますが、向こうではアメリカ製品に高関税がかけられています。FTAを結べば土俵を平らにできます。1億人の顧客へのアクセスが拡大し、世界最高の勤労者の雇用を支えます。「アメリカ製」という製品を作っている人達です。(拍手)

 

これらのFTAは、アメリカの戦略的利益を拡大するものでもあります。議会で最初に審議されるのは、コロンビアとのFTAです。アメリカの友好国であり、暴力とテロに立ち向かい、麻薬密輸と戦う国です。FTAを承認できなければ、西半球のえせポピュリズム唱道者を勢いづけることになります。ですから、私達は協力してFTAを承認し、民主主義がよりよい生活に結びつくことを、近隣諸国に示さなければなりません。(拍手)

 

貿易はよりよい職、選択肢、価格をもたらします。しかし、貿易により失業する国民もいます。連邦政府には支援する義務があります。(拍手)

 

貿易適応支援の期限延長と改革を議会に求めます。職を失った労働者が新しい技術を身につけ、新しい仕事を見つける手助けをするためです。(拍手)

 

将来のエネルギー安全保障のために、アメリカの研究者や起業家の創造的才能を信頼し、彼らが、次世代のクリーン・エネルギー技術の道を切り開けるよう力を与えなければなりません。(拍手)

 

私達の安全、繁栄、環境のために石油への依存を小さくしなければなりません。昨年、私は10年間で石油消費削減を目指す法整備を求め、議会は応じてくれました。協力して次の一歩に進むべきです。排出二酸化炭素を捕捉する石炭発電の新技術に支出しましょう。(拍手)

 

再生可能エネルギーと排出ガス・ゼロの原子力の利用を増やしましょう。(拍手)

 

未来の車やトラックを動かす燃料電池や再生可能燃料の先端技術へ投資を続けましょう。(拍手)

 

国際クリーン技術基金を創設し、中国やインドなど発展途上国が、クリーンなエネルギー源の使用を増やすのを支援しましょう。そして、国際合意を完成させましょう。温暖化ガス増加を減速、停止させ、やがては減少させる可能性がある合意です。(拍手)

 

合意は、主要経済国すべてが参加し、ただ乗りする国がない場合に初めて効果があります。(拍手)

 

アメリカは、エネルギー安全保障の強化と地球気候変動に立ち向かうことに専念しています。これらの目標達成に一番良い方法は、よりクリーンで効率の良いエネルギー技術の開発を、アメリカが主導することです。(拍手)

 

将来にかけてアメリカの競争力を保つには、科学者や技術者の技量を信じ、彼らが明日の技術の飛躍的前進を追求できるように、力を与えなければなりません。昨年、議会は、アメリカ競争力強化計画のために法律を整備しましたが、予算をつけませんでした。この支出は、アメリカの科学的優位を保つのに不可欠です。ですから、重要な物理科学の基礎研究への連邦政府支援を倍増するよう、議会に求めます。アメリカが世界で一番活力ある国であり続けるためにです。(拍手)

 

生命と科学の問題については、医学研究者の創意を信じ、彼らが、倫理的境界を守りながら新しい治療法を発見できるように、力を与えなければなりません。昨年11月、画期的成功を目の当たりにしました。成人皮膚細胞に手を加え、胚性幹細胞のような働きをさせる方法を、科学者が発見したのです。この技術的飛躍により、人の生命を破壊することなく、医学の新分野を広げられ、過去の対立的論争を過去のものに出来る可能性があります。(拍手)

 

ですから、私達は、この種の倫理的医学研究への支出を増やしています。有望な研究を探求する一方で、すべての生命が、然るべき尊厳をもって扱われるようにしなければなりません。ですから、非倫理的なヒトの生命の売買、特許取得、クローンを禁止するよう議会に求めます。(拍手)

 

司法については、建国の父達の英知を信じ、憲法を拡大解釈しない判事に力を与えなければなりません。(拍手)

 

判事指名名簿を議会に送りました。「小槌の気まぐれ」ではなく、法律の文言通りに判断する人達です。判事の指名承認の多くは、不当に遅らされています。承認に値する人達であり、上院は迅速に可否を票決すべきす。(拍手)

 

全米各地の地域社会においては、国民の善意を信じ、彼らが困っている隣人に役立てるよう力を与えなければなりません。過去7年間、市民の皆さんは、幸福追求の道は、他人への奉仕に通じることを知りました。ボランティア活動は記録的水準であり、慈善寄付は過去最高です。宗教系団体は、連邦政府の新たな支援もあり、絶望が蔓延する地域に希望をもたらしました。連邦政府資金授与で宗教系団体が差別されないように、「慈善の選択」の恒久化を議会に求めます。(拍手)

 

今日、「思いやりの大群」が、メキシコ湾沿岸の新たな日へ向けて行進を続けています。アメリカは、この地域の人々の強さやたくましさに敬意を表します。以前よりも強くて良い街を再建するため、支援の誓いを新たにします。そして、今年4月のカナダ、メキシコ、アメリカの北米サミットを、偉大な街ニューオリンズで開催することを、ここに発表します。(拍手)

 

議会で何度も提起した喫緊の課題が、あと二つありますが、放置されたままです。社会保障支出と移民問題です。議員の誰もが知っていることですが、ソーシャル・セキュリティー(公的年金)、メディケア(高齢者医療保障)、メディケイド(身障者・低所得者医療扶助)などの社会保障支出は、支えられない速さで増加しています。このまま進めば、痛みを伴う選択が待ち受けていることを、誰もが知っています。大増税か急激な給付削減、あるいは破滅的な財政赤字です。私は、これらの社会保障プログラムの改革案を出しました。今度は、議員が代替案を示す番です。超党派の解決策をまとめ、子や孫のために重要な政府プログラムを救わなければなりません。(拍手)

 

もうひとつの喫緊の課題は、移民問題です。アメリカは国境を固めなければなりません。議会の助力で、そのための措置をとりました。職場での法執行を強化し、塀や先進技術により不法越境を防ぎました。国境での捕捉と釈放の繰り返しを、事実上、やめました。そして、年内に国境警備隊を倍増します。しかし、合法的に外国人労働者が入国し、アメリカ経済を支える方法を作らなければ、国境を完全に固めることはできません。(拍手)

 

そうすれば、国境への負担を軽減し、警察当局が、私達に危害を加えようとする者達に集中できるようになります。また、すでに国内にいる不法移民の扱いでは、分別のある人道的な方法を見つけなければなりません。不法移民問題は複雑ですが、私達の法律や高邁な理想を守る方法で解決することが出来ますし、しなければなりません。(拍手)

 

国内のことを話して来ましたが、国民のために繁栄の未来を構築出来るかは、海外の敵に立ち向かうかどうか、また、世界の紛争地帯で自由を推進するかどうかにもかかっています。私達の外交政策は明解な前提に基づいています。チャンスを与えられれば、人は自由と平和の未来を選択するものだ、と私達は確信しています。過去7年間、自由の歴史における感動の瞬間を目の当たりにしました。グルジアやウクライナの市民が、自由で公正な選挙を求め立ち上がりました。レバノンの人々は、独立を求めデモを行いました。アフガニスタン人は、タリバンの専政から抜け出し、新しい大統領と国会を選びました。イラクの青年達は、(投票を済ませた証の)インクで染まった指を高くあげ自由を祝いました。これらの自由の映像は、私達を勇気づけました。(拍手)

 

この7年間、希望をくじくような映像も見ました。レバノンやパキスタンで、暗殺された指導者の死を悼み、棺を担ぐ人々を見ました。ヨルダンで、結婚式の客が血まみれの服で、ホテルからよろめきながら出てくるのを見ました。アフガニスタンやイラクでは、モスクや市場で爆破された人がいます。ロンドンやマドリードでは、電車が爆破されました。快晴の9月、何千ものアメリカ市民の命が瞬時に失われました。これらの恐ろしい映像は、自由の推進には、テロリストや過激派が反対するという事実を突きつけます。自由を嫌悪する邪悪な者は、アメリカを嫌悪し、多くの人々を恐怖の支配下に置こうとします。9・11同時多発テロ以降、テロリストや過激派の居場所を戦いの場にしてきました。攻勢を守り、圧力をかけ続け、敵に裁きを受けさせます。(拍手)

 

私達は、21世紀の決定的なイデオロギー闘争を戦っています。テロリストは、私達が大切にする人道や品位のあらゆる原則に反対します。しかし、この対テロ戦争では、私達と敵の意見が一致することが、ひとつあります。長期的には、自分の運命を決める自由がある人は、テロを拒絶し、専政下に暮らすことを拒みます。だからこそ、テロリストは、レバノン、イラク、アフガニスタン、パキスタン、パレスチナ自治区の人々に、この選択を与えまいと戦っているのです。だからこそ、アメリカの安全と世界の平和のために、私達は自由の希望を広げているのです。(拍手)

 

アフガニスタンで、アメリカと25のNATO同盟国、15のパートナー国は、アフガニスタンの人々が自由を守り、国家を再建するのを支援しています。これらの軍や民間人の勇気により、かつてアルカイダの安全な隠れ家だった国が、新興民主主義国になり、子ども達は学校に通い、新しい道路や病院がつくられています。人々は、新たな希望を持って未来を見ています。これらの成功を継続しなければなりません。ですから、アフガニスタンに海兵隊3,200人を増派します。テロリストと戦い、アフガン軍や警察を訓練します。タリバンやアルカイダの打倒は、アメリカの安全に非常に重要です。大切な任務への議会の支持に感謝します。(拍手)

 

イラクでは、テロリストや過激派が、誇り高き人々に自由を与えまいと戦っています。また、世界中を攻撃するために安全な隠れ家をさがしています。1年前、敵はイラクを混乱に陥れることに成功しつつありました。ですから、私達は戦略を見直し、方向転換しました。イラクへの増派を実施し、部隊に新しい任務を与えました。イラク軍と協力して市民を守りました。敵の拠点で追い詰め、国内のどこにもテロリストの聖域を与えないようにしました。イラク国民は、劇的なことが起こったことにすぐ気づきました。

アメリカに見捨てられることを心配していた人達は、逆に、数万の増派を目の当たりにしました。自分達の地域にアメリカ軍が来て、テロリストを一掃し、敵が戻ってこないように居続けたのを見ました。外務職員や他の技術公務員を含む再建チームと共にアメリカ軍がやって来て、治安の改善の後に、日常生活が改善されるようにしたのを見ました。イラクに駐留するアメリカ軍や民間人は、勇敢に見事に働いています。全国民が感謝しています。(拍手)

 

イラク人自身も立ち上がりました。2006年秋、スンニ派部族指導者達は、アルカイダの残虐さに嫌気がさし、「アンバールの目覚め」と呼ばれる民衆蜂起をおこしました。昨年、同様の運動がイラク全土に広がりました。現在、この草の根のうねりに8万のイラク市民が加わり、テロリストと戦っています。バグダッドの政府も責任を果たし、昨年、新たに10万人以上を軍や警察に加えました。しかし、敵はまだ危険であり、やらなければならないことが残っています。アメリカとイラクが増員したことで、1年前にはほとんど誰も想像できなかったような成果を収めました。(拍手)

 

昨年の今頃、多くの人が、暴力を押さえ込むのは不可能だと言っていました。1年後、大きなテロ攻撃は減少し、民間人死者や宗派間殺人も減りました。昨年の今頃、武装過激派は、一部イランの武器や訓練を受け、イラクの広い地域で被害をもたらしていました。1年後、連合軍とイラク軍は、数百人を殺害あるいは捕捉しました。イラク人は皆、武装勢力を打ち負かすことが、自分達の国の未来にとって非常に重要であると理解するようになりました。昨年の今頃、イラクにはアルカイダの聖域がたくさんあり、その地域の指導者は、アメリカ軍が無事に国外に逃げられる道を提案してきました。今日、安全な逃げ道を探しているのは、アルカイダの方です。かつての拠点の多くから追い出されました。この1年、私達はイラク国内で数千人の過激派を、捕捉あるいは殺害しました。アルカイダの幹部や工作員、数百人も含まれます。先月、オサマ・ビンラディンはテープを公開し、アルカイダに敵対するイラクの部族指導者を批判しました。また、イラクで連合軍の勢力が増していることを認めました。皆さん、増派の成功を否定する人がいるかもしれませんが、テロリストは間違いなく分かっています。アルカイダはイラクで背走しています。この敵は打倒されます。(拍手)

 

昨年の今頃、イラク駐留のアメリカ兵員数は増加していました。現在、これまで述べた前進があったため、「成功収益政策」を実施しています。イラクに増派した兵員が帰国し始めています。この前進は、我が軍の兵士の武勇、そして司令官の頭脳の賜物です。今日、私は最前線の兵士に直接語りかけたいと思います。「皆さんは、昨年、私達が求めたことすべてに応じてくれました。それ以上でした。皆さんの勇気に全国民が感謝しています。皆さんの成果を誇りに思います。今日、この神聖な議場で、国民を証人として、皆さんに誓います。今後の戦いで、国を守るために必要なものすべてを与える、と。」(拍手)

 

議会には、軍へ十分支出することにより、勇敢な兵士への責任を果たすよう求めます。(拍手)

 

イラクの敵は、大きな痛手を受けていますが、負けたわけではありません。今後も厳しい戦いがあるはずです。今年の目標は、戦略の次の段階へ進みつつ、2007年の成果を維持し、さらに積み上げることです。アメリカ軍は、作戦の主導からイラク軍とのパートナーシップへシフトしています。いずれ、防護・監視任務に移ります。この移行の一環として、1陸軍旅団戦闘部隊と1海兵隊進攻部隊の帰還が終わり、代替部隊は派遣されません。今後数ヶ月で、さらに4陸軍旅団と2海兵隊大隊が帰還します。合わせて2万人以上のアメリカ兵が帰国することになります。(拍手)

 

それ以上の兵員削減は、イラク情勢と司令官の提言で判断します。パトレイアス将軍は、性急な削減は、イラク治安部隊の崩壊につながり、アルカイダは失地回復し、暴力が著しく増加する、と警告しています。議員の皆さん、これだけ成果を上げたのですから、そのようなことを許してはなりません。(拍手)

 

今年、政治的和解のさらなる前進へ向けて、私達はイラク人指導者と協力します。地域レベルでは、スンニ派、シーア派、クルド人が協力して地域社会を取り戻し、生活を立て直しています。地方での前進とバグダッドでの前進は、釣り合わなければなりません。(拍手)

 

勇気づけられる兆しもあります。中央政府が地方と石油収入を分け合っています。最近、イラク国会は、年金法と非バース党化改革を可決しました。現在、地方分権法を審議しています。イラクはまだ長い道を歩まなければなりませんが、何十年もの独裁政治や宗派間暴力の痛みの後、和解が始まり、自分達で未来を決め始めています。(拍手)

 

イラクでの任務は、アメリカにとって困難で苦しいものでした。しかし、成功することが、アメリカの国益にとって重要です。イラクが自由な国になれば、アルカイダに安全な隠れ家を与えません。中東の数百万人に、自由な未来が可能であると示すことになります。自由なイラクは、アメリカの友好国となり、テロとの戦いのパートナーとなり、この危険な地域で安定要因となります。逆に、イラクが破綻すれば、過激派を勢いづかせ、イランを強くし、テロリストの新たな攻撃拠点となります。友好国、同盟国、アメリカ本土への攻撃拠点です。敵はその意図を明確にしています。敵が優勢のように見えたとき、イラクのアルカイダ幹部は、ワシントンを攻撃するまでやめない、と宣言しました。市民の皆さん、この敵を打倒するまで、私達もやめません。(拍手)

 

この困難な仕事を今、行わなければなりません。未来の人達が振り返ったとき、私達の世代が時代の要請に応え、厳しい戦いに勝ち、中東の希望を大きくし、より安全なアメリカを残したと言えるように。(拍手)

 

私達は、聖地でも過激派に立ち向かっています。希望を新たにする理由があります。パレスチナ人が大統領を選出しました。彼は、国民が尊厳を持って生きられる国、イスラエルと平和な関係にある国を建国するには、テロに立ち向かうことが大切であると理解しています。イスラエルの指導者達も、平和で民主的なパレスチナ国家は、永続的な安全の源になると理解しています。今月、ラマラとエルサレムで、私は両方の指導者に約束しました。パレスチナ国家を制定する和平合意を、彼らが年内に達成出来るよう、アメリカ、そして私自身が全力を尽くすと。二つの民主国家イスラエルとパレスチナが、聖地に隣り合って平和共存する時がやってきたのです。(拍手)

 

私達は、テヘランの体制が体現する過激勢力にも立ち向かっています。イランの支配者は、善良で有能な国民を抑圧しています。中東で自由が前進するところは、いつもイラン政府の反対にあうようです。イランは、イラクの武装勢力に資金や訓練を与えています。レバノンでは、ヒズボラのテロリストを支援しています。聖地では、和平を妨げるハマスを後押ししています。テヘランは、射程のより長い弾道弾ミサイルも開発しています。核兵器製造に使えるウラン濃縮技術の開発も続けています。イランの国民への私達のメッセージは明解です。何の不服もありません。皆さんの伝統と歴史を尊敬しています。皆さんが自由を享受する日を楽しみにしています。イランの指導者への私達のメッセージも明解です。検証可能な形で核濃縮を停止しなさい。そうすれば、交渉を始められます。国際社会に復帰し、核の野望やこれまでの行いを白状しなさい。国内の抑圧をやめなさい。海外でのテロ支援をやめなさい。しかし、何よりも肝に銘じなさい。私達は、アメリカ軍に脅威を与える者には立ち向かいます。同盟国を支援します。ペルシャ湾における私達の重要権益を守ります。(拍手)

 

アメリカ本土では、合法的で有効なあらゆる措置をとり、国を守り続けます。それが私達の最も厳粛な責務です。9・11同時多発テロ以後、国内で攻撃がなかったことに感謝しています。敵に攻撃の意欲や努力がなかったわけではありません。過去7年間、私達は多くの攻撃を防ぎました。中には、ロサンゼルスの最も高いビルに飛行機で突っ込むたくらみもありました。また、アメリカに向かう航空機を、大西洋上で爆破するたくらみもありました。

 

勤勉な政府職員が、昼夜を分かたず働き、テロ攻撃を防いでいます。この善良な市民が、国民の命を救っているのです。この議場の誰もが、お礼を言わなければなりません。(拍手)

 

それだけではありません。彼らに、国民を守るための道具を与えなければなりません。最も大切な道具の一つは、テロリストの通信を監視する能力です。アメリカを守るためには、テロリストが誰と何を話しているのか、何を計画しているのか、知らなければなりません。昨年、議会はそのための法律を通しました。しかし、2月1日に期限切れを迎えます。つまり、今週金曜までに議会が動かなければ、テロの脅威を追跡する能力が弱まり、市民が大きな危険にさらされるようになります。議会は、重要な情報の流れが中断しないようにしなければなりません。議会は、アメリカ防衛に助力した企業に免責を与える法律を通さなければなりません。十分に議論しました。行動すべき時は、今です。(拍手)

 

新世紀の危険から国を守るには、よい情報や強い軍だけでは足りません。憤懣を生む土壌や、過激派が絶望につけ込む土壌を変えることが必要です。ですから、アメリカは影響力を使い、より自由で、希望や思いやりのある世界を作ろうとしています。これは、国益を反映しており、また、私達の良心が求めるところです。アメリカは、スーダンのジェノサイド(人種・民族・宗教等に対する大量虐殺)に反対します。(拍手)

 

私達は、キューバ、ジンバブエ、ベラルーシ、ミャンマーなどにおける自由を支持します。(拍手)

 

アメリカは、世界の貧困との戦いを、力強い教育計画や人道援助で主導しています。援助の与え方も「ミレニアム・チャレンジ・アカウント」を立ち上げて変えました。発展途上国で民主主義、透明性、法の支配を強化するものです。議会に、この重要プログラムに十分支出するよう求めます。(拍手)

 

アメリカは、世界の飢餓との戦いを主導しています。現在、世界の食糧援助の半分以上が、アメリカ発です。今日、画期的プログラムへの議会の支持を求めます。発展途上国の農場から作物を直接買い上げ、食糧支援にあてるというものです。現地の農業を発展させ、飢饉の悪循環からの脱却を助けます。(拍手)

 

アメリカは、病気との戦いを主導しています。議会の支援もあり、アフリカの15カ国でマラリア関連の死者数を半減させるよう取り組んでいます。エイズ緊急支援計画で、140万人を治療しています。治療や希望をもっと多くの人に届けられます。危険な行動を変え、プログラムを成功に導いた基本方針を、維持するよう求めます。そして、今後5年間で300億ドルを追加承認することにより、当初のHIVエイズ対策費の倍増を求めます。(拍手)

 

アメリカは、世界における希望の力ですが、それは、国民に思いやりがあるからです。もっとも思いやりがあるのは、私達を守るために進んで名乗りを上げた人達です。自由で平和な私達の暮らしのために、命や身体を危険にさらした人達との約束を、忘れてはなりません。過去7年間、退役軍人への支出を95%増やしました。(拍手)

 

支出を増やすとともに、次世代の新たな戦争に対応できるように、退役軍人制度を改革しなければなりません。(拍手)

 

ボブ・ドール元上院議員とドナ・シャレーラ元厚生長官がまとめた改革提言を、法制化するよう議会に求めます。負傷兵の介護制度を改善し、彼らが、希望と尊厳のある暮らしができるよう支援するためです。(拍手)

 

兵士達の家族も国のために犠牲になっています。愛する人が遠くで軍務につく中、眠れない夜に耐え、子ども達を養うのに毎日必死です。私達には、彼らを養う義務があります。託児所を利用しやすくし、連邦政府が兵士の家族を優先雇用するようにし、兵士の教育手当の未使用分を配偶者や子どもが使えるようにしましょう。(拍手)

 

兵士達の家族は国民に奉仕し、勇気を与えています。今日、国民が彼らに敬意を表します。(拍手)

 

私達の強さの秘密、そしてアメリカの奇跡は、私達の偉大さが政府にあるのではなく、国民の精神と信念にあるという点です。1787年、フィラデルフィアで憲法制定会議が開かれた当時、連合規約が施行されていました。その初めの言葉は「我ら下に署名した代表者は…」でした。新憲法前文の草案を頼まれたのは、ガバヌーア・モリスでした。彼は大切な修正を提案し、私達の国の進路と世界の歴史を変えた言葉から書き始めました。「我ら人民は…」です。

 

建国の父達は、人民を信じることにより、すべての人の心にある自由を土台として、偉大で高潔な国が出来ると確信しました。後に続いた世代は、国民を信じることにより、若くて脆弱な民主主義国家を、世界最強の国に変えました。多くの人にとって自由の灯火(ともしび)です。国民を信頼する限り、私達の国は繁栄し、自由は安泰です。国の状態は強くあり続けます。(拍手)

 

そして今日、自由の力を確信し、国民を信頼しつつ、彼らのために働くために歩み始めましょう。アメリカに神の祝福があらんことを。(拍手) 

2007年一般教書演説

 

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