〜大正窯の解説〜
構造…炭化室は奥行十尺、最大横巾八尺、よう壁の高さ二尺五寸、横巾前部一・ニ〜ニ尺、後部二〜二尺五寸、奥行一・八〜二尺とする。
排煙口は高さ二〜ニ寸五分(よう壁高の五%)横巾八寸(炭化室最大横中の十%)奥行八寸(炭化室奥行の八%)とし、掛石は刀刃状にて下部の厚さ一〜三寸、高さ六〜七寸、上端の厚さ五〜七寸のものを適当とする。吹附石は高さ六〜七寸位のもので約四寸後方へ傾けて据附ける。
煙道は高さ一尺につき一〜二寸後方へ傾ける。煙道口は直径五寸とする。天井は三〜四寸の勾配とし、かま奥より二十%の所を最高部として、それよりかま口三十%の所までを水平とする。障壁の高さはよう壁の八十%とする。
製炭方法…炭材の詰込みが終った度毎に、炭化室と加熱室との境に石と粘上をよう壁の高さの八十%まで積上げ障壁をつくる。障壁にはよう底より約二〜三寸上方中央部に直径一〜二寸の丸木を一 〜ニケ所塗り込み置き、炭化の末期に自然に焼け抜けて炭材下部に通風できる精錬口(せいれんこう)を設ける。
口焚するには煙道口に一本の土管を立てて始める。次第に排煙温度が上昇し四十〜五十度になれば巾九分位の制限板を載せ、次第に温度が上昇すれば制限板を増して排煙を制限し、よう内に蓄熱させる。こうして温度七十五〜七十六度になれば制限板を取払い、しばらくして八十度に昇れば加熱室一杯に燃材を詰め、かま口の下部に炭化室最大横巾の十%、高さ約二寸五分の通風口を作って口塗りをする。口焚き中はかま口の上部に鉄板又は、ブリキ板を当て火気がよう外に吹き出ないようにする。又かま口上部額石の下端中央に直
径一寸位の丸太を塗り込み精煉のとき覗き孔とする。
普通、口焚は五〜六時間から大がまで、八〜九時間が適当とされあまり早くても遅すぎてもよくない。
(木炭と加工炭より)
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